だれかに話したくなる本の話

年収1億円超も 開業医でも勤務医でもない「フリーランス医師」とは?

「高収入な仕事」として、真っ先に名前が上がるのが「医師」、特に「開業医」である。では開業医はどれくらい儲かるのだろうか。もちろん専門にもよるし、医院がある立地にもよるだろう。

ならば、どんな開業医は儲かるのだろうか。その一端を明らかにしてくれるのが、医師・松永正訓さんの著書『開業医の正体-患者、看護師、お金のすべて』(中央公論新社刊)である。

◾️私大医学部を出たら開業を志す?

勤務医を辞めて開業しようというくらいだから、そもそも開業医は「稼ぐこと」への意欲は高い。その意欲の一つの源として、医師になるまでにかかるお金の問題がある。

よく知られているように、私大医学部の学費は高い。「御三家」と呼ばれる、慶應義塾大学、日本医科大学、東京慈恵会医科大学の授業料が、2000万円強。これは私大医学部では比較的低いのだそう。そのおかげで受験生が殺到。おかげでこれらの医学部は偏差値が高くなっている。

その他の私大医学部は、もっと授業料が高く、平均すると6年総額で3200万円ほど。開業医になる理由は人それぞれだが、私大医学部に入り、高額の授業料を払って医師になったのだから、これらの「投資」を取り返そうというのがモチベーションになっている人もいるはずだ。

◾️1日100人以上の患者を診る医師も

ただ、「患者を診る」という意味では開業医も勤務医も同じ。開業医はなぜ勤務医と比べて高収入なのか?本書によると、開業医と勤務医では、診る患者の数がまったく異なるという。開業医で朝から晩まで外来診療をやっていると、100人以上の患者を診る日も珍しくはないのに対して、勤務医は多くて40人ほど。大学病院だとそもそも外来患者を受け付ける日も少ない。

開業医は「経営者」、勤務医は「会社員」。勤務医はどんなにたくさん患者を見ても、給料は同じである。だからより多くの患者を診ようというインセンティブは働きにくい。その点で、開業医はできるだけたくさん患者を受け入れるインセンティブがある。

◾️開業医の収入と「フリーランス医師」

では、開業医の実際の収入はどれほどなのか。
厚生労働省が平成18年に出したデータによると、病院勤務医の平均年収は1479万円。これに対して法人の開業医は2530万円で、個人の開業医は2458万円となっている。やはり、開業医は勤務医と比べるとかなり「稼いでいる」のはまちがいない。

余談だが、勤務医の「1479万円」も一般的にはかなりいい収入だといえるが、こと大学病院の勤務医はそれには当てはまらず、「他の病院でアルバイトをしないと生活していけない」という。

ただ、このアルバイトは時給1万円ほどと高額で、中には勤務医でも開業医でもなく、アルバイトだけで生計を立てている「フリーランス医師」もいるのだとか。特に麻酔科はフリーランスが多いとされ、難しい麻酔を専門にかけているフリーランスは年収1億円に届くこともあるそう。医師としての自己研鑽に費やす時間が十分に取れるかは疑問だが、医師にはこういう生き方もあるのだ。

患者側はあまり意識しない開業医と勤務医の違いだが、両者の違いを知っておくことは、自分の病院選び、医師選びにも役立つはず。

開業医はどんなことを考えて患者と向き合っているのか、そして医院選び、医師選びの際はどんなところに着目すべきなのか。知られざる医師の世界を垣間見せてくれる一冊だ。

(新刊JP編集部)

開業医の正体-患者、看護師、お金のすべて

開業医の正体-患者、看護師、お金のすべて

クリニックはどうやってどう作るの? お金をどう工面しているの? 収入は? どんな生活をしているの? 患者と患者家族に思うことは? 上から目線の大学病院にイライラするときとは? 看護師さんに何を求めているの? 診察しながら何を考えているの? ワケあって開業医になりましたが、開業医って大変です。開業医のリアルと本音を包み隠さず明かします。開業医の正体がわかれば、良い医者を見つける手掛かりになるはずです。

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