ストレスから身を守り、メンタルを強くするためにすべきこととは
4人に1人が人生において、うつや強い不安といった精神的な不調を経験するといわれる。この25%という傾向は世界中同じで、日本人にも当てはまるという。
史上最悪のメンタルと言われる私たち現代人は、メンタルの問題とどのように向き合えばいいのか。
『メンタル脳』(アンデシュ・ハンセン、マッツ・ウェンブラード著、久山葉子訳、新潮社刊)では、『スマホ脳』の著者で精神科医のアンデシュ・ハンセン氏と児童文学作家のマッツ・ヴェンブラード氏が、「なぜ人間には感情があるのか」「感情があるせいで何が起こるのか」を説明し、「うまく人生を歩んでいくために、どのように脳をサポートすればいいか」など、脳科学からメンタル問題を解説している。
■ストレスから身を守るためにすべきこととは
ストレスは、身体や心への負荷に対する反応であり、感情というよりは身体の中のプロセスといえる。例をあげると、ジョギングをすると身体はストレスを感じる。学校でテストを受けるときもそう。血液を筋肉に送るために心拍数が上がり、集中し、そのときに必要のない身体のシステムはスリープモードに入る。これが「闘争か逃走」と呼ばれる状態で、命を失わないように闘うか、逃げ出すために身体が体勢を整えているのだ。
適度なストレスは良い刺激になり、短期間感じるのは悪いことではない。しかし、長く続くストレスや強過ぎるストレスは、特に感情面で問題を引き起こしてしまうという。
では、自分をストレスから守り、メンタルを強くするには何をしたらいいのか。それは運動だ。
脳も身体の一部であり、脳だけ独立しているわけではない。脳は脳脊髄液という液体に浸かっているが、脳脊髄液の状態は血液や血糖値、血中脂質などによって変化する。つまり身体が健康だと脳も良い環境で過ごせるということだ。
運動をすると、身体の器官や組織が強くなるだけではなく、脳脊髄液を安定させてくれる。脳が良いシグナルを受け取ると、受け取ったシグナルを基に感情がつくられる。そして、幸せな気分になる可能性が高くなり、不安な感情がわくリスクも減る。運動はうつを防ぐためにできる重要なことのひとつと言えるのだ。
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精神的に苦しいとき、「自分はどこかがおかしいのでは」「欠陥があるのでは」と思ってしまうかもしれない。だが、メンタルが弱ることも人間の一部で、人間はそのようにできている。
メンタルとはどういう仕組みになっていて、何がメンタルの調子を左右するのかを本書から知ることで、メンタルの安定につながるはずだ。
(T・N/新刊JP編集部)