「1行」で伝える文章のつくり方とは
SNSやメール、チャットツールなど、わかりやすい文章で伝えなければいけない場面は増えた。誰もが忙しい毎日を過ごしている中で、長文をちゃんと読んでくれることはそうそうないし、自分に関係ない、面白くなさそうと感じる情報は読み飛ばされてしまう。
では、そんな状況において必要なものは何か。それは、相手に選んで読んでもらい、理解してもらうための「相手の心に刺さる1行」だ。
『1行で伝える力 心に刺さるメッセージのつくり方』(三笠書房刊)は、コピーライターの著者・田口まこ氏が、「1行」で見た瞬間に右脳で直感的に内容を理解でき、なおかつ「面白そう」と思ってもらえる簡潔でわかりやすく、気の利いた表現で伝える方法を紹介している。
■相手に刺さる「1行」をつくるための4つのステップ
田口氏によれば、相手の心に刺さる「1行」をつくるには、4つのステップがあるという
最初のステップは「絞る」だ。
まずすべきが「誰」に伝えたいのか、ターゲットをしっかり決めること。そして、その相手のことをできるかぎり具体的にイメージする。伝えたい相手のことを詳しく知り、その人のことを具体的にイメージすることで、きちんと思いが伝わる1行をつくることができるのだ。
続いてのステップは「広げる」。
ターゲットを明確にしたら、実際に伝えたいことを書き出す。最初から1行にまとめる必要はなく、この段階ではできるだけたくさん書こう。ここで必要なことは、たくさんの切り口と多彩なアイデア。ステップ1で絞り込んだターゲットのことは一度忘れて、自由な発想で書くのだ。
3つめのステップは「選ぶ」。
2つめのステップで書き出した伝えたいことの中から、ターゲットにとって最も大切だと思うことを選ぶのがこのステップ。まずは、伝えたいことをカテゴリ分けし、それらの中から1つに絞る。そして、選んだカテゴリの中から言葉を選ぶ。注意すべきは、自分自身の好き嫌いで言葉を選ばないこと。大切なのは、「対象の特徴や内容がきちんと伝わること」「ターゲットの興味を惹くこと」「独自性があること」の3つだ。
最後のステップが「磨く」。
ステップ3で選んだ伝えたいことを磨いて完成させるが、ここではテクニックがあるという。たとえば、「て・に・を・は」などの助詞を抜くだけで、1行に躍動感が出て磨きがかかる。具体例を挙げると、「海がきれい!」という言葉から助詞を抜いて「海、きれい!」にすることで、「海」という言葉が強調され、イキイキとした感情が伝わるようになったりする。
この4ステップは、キャッチコピーや商品のイベントのタイトルづけ、SNSの見出しなど、さまざまなシーンで活用することができる。このステップを踏むのと踏まないのでは、伝わり方に天と地ほどの差が生まれると田口氏は述べる。
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うまく相手に伝えることに苦戦している人は多いはず。広告の第一線で活躍しているコピーライターが実践している「1行」をつくる4ステップをぜひ実践してみてはどうだろう。
(T・N/新刊JP編集部)