人間力を高めるために「こだわってはいけない」5つのこと
人生100年時代といわれ、定年退職後をどのように生きるかをしっかりと考えないといけないようになった。
セカンドライフも充実して過ごし、生涯現役で働くには、50歳からその準備をしておいてもいいかもしれない。そんなとき、いくつになっても社会から求められる人間力を身につけるために実践したいのが「陽明学」だ。
陽明学は、孔子の教えを起源とした儒学の考え。陽明学の特徴ともいえる「知行合一」とは、知ることと行うことは分けることはできないという意味だ。
また、人として良いと思うことは、自分の心で感じるものであって、教えられて知るものではないと考える。自ら主体的に考えて、行動しながら身につけていくことが大切ということだ。
■人間力を高めるために「こだわってはいけない」5つのこと
『50歳からの人生は陽明学で変わる』(徳丸登著、合同フォレスト刊)は、陽明学のさまざまな教えを、「筆者なりの解釈」と「長年の実践」を組み合わせ、仕事や人生における課題解決の手法として具体的に紹介する一冊となっている。
本書のキーワードの一つである「人間力」は、「ニコニコしている人柄+考え方+フットワーク+教養+マナー」を総合したもの。
日頃からニコニコしていることは、温和な人柄と安心感を相手に伝え、雰囲気がとげとげしくならず、大きなトラブルになることにならずに済むことも多い。そして、人間力を高めるには、自分の心を広く持ち、こだわりを持たないこと。「こだわってはいけない・やってはいけないこと」は5つある。
1.好き嫌い
ビジネスの現場では、自分の好き嫌いは除いて、リピーター客を増やすために何をしたらいいかを考えることが大事。好き嫌いがあると、公正な判断ができない。
2.成功体験
成功体験はそのときだけのものなので、過去の出来事として忘れる。
3.これくらいでいい
続けるうちに人はだんだん「これくらいでいいか」と緩くなるので、人事を尽くすことを続ける。
4.やり過ぎること
やり過ぎると、平常心を失うため、正常な判断ができなくなる。
5.自己中心主義
自己中心主義は自分にとっては快適だが、他人の入る隙間はない。他人は近寄ってこず、情報も入ってこなくなる。
これらのこだわってはいけない、やってはいけないことは、陽明学の「到良知」という考えに通じるという。私欲によって心を曇らせず、良いと思うことを問いかけて実践し、間違えば改める。これを繰り返すと、心は高みに上がり、人間力が向上するのだ。
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著者の徳丸氏は、50歳のときから楽しみながら陽明学に取り組み、78歳の今も福祉機器製造販売医会社に勤務し、現役で活躍している。
心と行動の哲学を学べる陽明学を実践し、生涯現役を目指してみてはどうだろう。
(T・N/新刊JP編集部)