60代以降の幸福度を決める最重要な要素とは
日本で65歳以上の人が占める割合は29%(総務省人口総計2022年10月1日時点)となり、人口の3割が高齢者。「人生100年時代」といわれ、定年退職後の人生は30年以上続く。どうすれば60歳からも充実した幸せな生活を送ることができるのか。
幸福を科学的手法で評価する「幸福学」を専門とする前野隆司氏と老化や長寿について研究する「老年学」の研究者である菅原育子氏が、人間関係、お金、仕事、生きがい、健康などの切り口からさまざまなデータをもとに、60歳以降も幸せに生きるコツや幸福度を高めるためのを解説するのが、『「老年幸福学」研究が教える 60歳から幸せが続く人の共通点』(前野隆司、菅原育子著、青春出版社刊)だ。
■60代以降の幸福度を決めるものは?
60代以降の幸せのキーワードは「つながり」だ。前野氏が特定非営利活動法人issue+designとともに実施した調査では、友だちの数が多い人ほど幸福度が高いというデータが出ている。さらに、SNSで友だちをたくさんつくるよりも、リアルな友だちをつくったほうが幸福度が高いという結果が出ている。
定年退職によって会社とのつながりが切れたりと、人間関係に大きな変化が生じる時期。どうやって新しいつながりを見つければいいのか。また、どうすればつながりが切れないですむのか。仕事一筋だった人は、定年になるとつながりが一気になくなり、交友関係に根本的な変化が生じる。「定年になってから考えよう」と思っていると、長年の会社勤めで身についた思考や行動のパターンが邪魔をして、すぐには適応できない。
なので、定年前から種をあちこちにまいておくといい。40~50代のうちから、趣味の集まり、ボランティアサークル、喫茶店の顔なじみ、ペット仲間など、顔見知りをつくっておく。家と職場以外の第三の場所をつくり、家族でも会社の同僚でもない知り合いがいることが理想となる。
人の財産には「地位材」と「非地位材」の2種類がある。地位財は、資産、収入、社会的地位といった周囲と比較することで満足が得られるもの。一方、非地位財は、愛情や友情、自由度、つながりなど、他人が持っているかどうか とは関係なく喜びが得られるもの。重要なことは、地位財による幸福度が長続きしないのに対し、非地位財による幸福度は長続きするという点だ。
長い人生を幸せに生きるためにも、本書を参考に60歳以降何を大切にすべきか、どう生きるかを考えてみてはどうだろう。
(T・N/新刊JP編集部)