唱えるだけで不安が消える「真言」とは
真言とは、仏様の言葉であり、発せられる音のこと。音そのものに神秘的な力が宿っているとされている。生き方に迷ったとき、不安や苦しみを抱えているとき、意味はわからなくても、神仏を信じて真言を繰り返し唱えることで、真言の持つ不思議な力により、さまざまな災いが取り除かれるとされている。
たとえば、「ノウマクサマンダボダナン バク」という仏教の開祖である釈迦如来の真言がある。「ノウマクサマンダボダナン」は帰命、つまり「帰依します」という意味。「バク」というのが釈迦如来をあらわしている。この真言は「釈迦如来に帰依します」という意味を持つ。仏教用語で「帰依します」とは、信じて拠り所にするという意味だ。
このような真言について解説するのが、『すごい真言』(小瀧宥瑞著、悟東あすかイラスト、フォレスト出版刊)だ。本書では、牧野山蓮乗院住職の小瀧宥瑞氏が、日常で真言に気軽に触れ、諸仏の存在に親しむための入門書として、真言が人生に効く理由や真言の唱え方を紹介する。
では、どのように真言を唱えればいいのか。真言を唱えるときは、仏様に意識をまっすぐ向けることが大切になる。「唱える」ということは、自分で声を出しながら、自分がその声を聞いていることになる。これが重要で、「唱える」ことによって、自分の内側に仏様の限りない大いなる功徳を受け止めることになるからだ。
唱える真言は、釈迦如来をはじめ、さまざまな仏様の功徳から、今の自分の思い、願いにふさわしい仏様、真言を選ぶ。優先する願いごとを1つ決めて、自分の好きな仏様の真言を唱えるところから始めるのがいい。
一般に真言を唱える場合は、3回、7回、21回、108回を基準にする。自分で回数を決めて、毎日続けることを習慣にする。朝や眠りにつく前、出かける前にお仏壇に手を合わせてなど、自分の好きな時間と場所を選ぶ。大切なのは、真言を毎日唱えると決めたのであれば、それを守ること。それは仏様との小さな約束だからだ。仏様に心を向けるその1日1日の積み重ねが真の想いとなり、いざというときに仏様の救いの手が差し伸べられるという。
真言は仏に成るため、悟りに至るための厳かな修行の1つであると同時に、人々の願い、招福、延命、病気平癒、商売繁盛などの現世利益を叶える加持祈祷としても浸透してきたもの。生き方に迷ったとき、入門書となる本書を参考に真言を唱えてみてはどうだろう。
(T・N/新刊JP編集部)