泉谷しげる「バカヤローキャラ」の原点
これからの時代、最も大切なのは「生き抜くチカラ」。どこででも生きていける知恵とチカラ。そのためにも、生き抜くチカラを持ったキャラを作り上げなければいけない。そう述べるのは、シンガーソングライター・俳優の泉谷しげる氏だ。
二言目には「バカヤロー!」が口を衝いて出るバカヤローキャラ、暴れん坊キャラで70歳を超えるまでやってきた。今でも仕事を続けることができている泉谷しげる氏。
そんな泉谷氏が生きることが困難な時代だからこそ、「キャラで生き抜け!」という生き方を紹介するのが、『キャラは自分で作る どんな時代になっても生きるチカラを』(泉谷しげる著、幻冬舎刊)だ。
■「口は悪いけど、なんかいいヤツ」を目指して
本当は臆病で、気が小さいという泉谷氏。自分のダメな部分は隠したい、正反対の自分に憧れるから、暴れん坊キャラを磨いてきたと語っている。
そんな性格だけに、勝てるわけがない相手に突っ込んでいって負けるのは嫌だったという。臆病で、度胸がないと自覚している泉谷氏は、正面衝突を避けながら、うまく脇から歩み寄って、攻め落とす。そんなキャラクターと兵法を身につけたいと思い、見えてきたのが「バカヤロー」のキャラだった。「お調子者でケンカに強く、口は悪いけれど、根はいい人」というのを表現するために、ことあるごとに「バカヤロー」「コノヤロー」と言うようになった。相手が「口は悪いけど、なんかいいヤツだよな」と都合よく思ってくれれば、それでいい。
戦略的に演じたキャラで、本当の自分ではない。けれど、このキャラクターが皆の元気になるのなら素敵なことであり、しっかりやり続ければいい。初めは演じていても、それが少しずつ本当の自分になってくるという。
また、日本人は真面目で正直すぎるから損をするという。正直に生きるのではなく、こずるく生きる。どんな生き方をしても、命を続けていくことができれば、それだけでいい。どこにいても生き残れるチカラが泉谷氏のテーマであり、そのための生き抜くチカラ、キャラクターを作るということなのだ。
「体は老けても心は老けない」をモットーに、自分のキャラを確立して生きてきた泉谷氏の生き方は、武骨なようでしなやかだ。キャラで得をする人もいれば、損をする人もいる。どうせなら得をするキャラでいたいもの。対人関係がうまくいかない人は、本書を参考に少しだけ自分のキャラをアレンジしてみるといいかもしれない。
(T・N/新刊JP編集部)