だれかに話したくなる本の話

【「本が好き!」レビュー】『笑うハーレキン』道尾秀介著

提供: 本が好き!

腕が良くこだわりの家具作りをしていた東口は、息子を事故で亡くし経営していた会社も倒産、妻にも離婚され、川辺の空き地に住むホームレスたちと一緒に暮らしている。

トラックを寝床兼仕事場とし、家具修理のチラシを配り、ちょっとした修理をして日銭を稼いでいる東口。彼には、自分につきまとう疫病神が見えるのだ。

そんなある日、ちょっとトラックを離れている間に見知らぬ女性奈々恵が助手席に座っていて、家具修理の弟子にしてほしいと半ば強引に居座った。

奈々恵が東口につきまとうようになってから、不穏な出来事が続き、さらに、東口は、奇妙な家具修理の依頼を受けた・・・。

誰もが、素の自分を隠し、仮面をかぶって生きている。ホームレスになった者たちは、とりわけその傾向が強い。すぐ近くにいるのに、相手が何をしているのかなどまったくわからない。そんなホームレスたちを陥れる罠。東口は、危険から逃れることができるのか。

東口が仮面の下から素の自分を見せたということは、彼が立ち直りかけているということでもある。ホームレス仲間と一緒に、新たな道を歩んでいってほしいと思う。人の痛みが分かる優しい人として。

(レビュー:ぷるーと

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本が好き!
笑うハーレキン

笑うハーレキン

全てを失った家具職人の東口と、家無き仲間たち。そこに飛び込んできたのは、謎の女と奇妙な修理依頼――巧緻なたくらみとエールに満ちた傑作長篇!

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