大注目の青春小説『成瀬は天下を取りにいく』 主人公の人気に作者は「意外です」
今、旋風を巻き起こしている青春小説がある。
舞台は滋賀県大津市。「かつてなく最高の主人公」成瀬あかりは妙にスケールの大きなことを言う女の子だ。
閉店のカウントダウンが進む地域のシンボル・西武大津店に幼馴染みの島崎あかりとともに通い続け、西武ライオンズのユニフォームを着てテレビ中継に映る。そして西武大津店の閉店を見届けると「将来、わたしが大津にデパートを建てる」と宣言する。
『成瀬は天下を取りにいく』(新潮社刊)をすでに読んだのであれば、成瀬のキャラクターに心を鷲掴みにされているはずだ。そして、魅力的すぎる主人公と、そんな主人公に振り回されながらも、自分の青春を謳歌する登場人物たちの姿を通して、自分の青春時代を思い出すかもしれない。
著者の宮島未奈さんは大津市在住。女による女のためのR-18文学賞(以下、R-18文学賞)を受賞し、本作でデビューした。今回はそんな宮島さんに、2023年上半期を代表する一冊となった本作についてお話をうかがった。