だれかに話したくなる本の話

「イメージとセット」がカギ。人を説得するときの心理テクニック

他人を説得したり、人と上手く関係を築くことが苦手という人は少なくない。
こうした悩みは、心理学の知見から言葉遣いや表情、身振りのコツを知ることで克服が可能だ。

『10秒で人を操る心理術』(PHP研究所刊)では心理学者の内藤誼人氏が、心理学の知見から人間の心理に沿った言葉や動きを知り、コミュニケーションや説得に役立つ「人を操る方法」を紹介している。

■説得するときはイメージとセットで伝える

人を説得するときに、その内容を相手がイメージできなければ、自分のメッセージは伝わらず、意味がないということになってしまう。

オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のグラハム・クーパー博士が行ったこんな実験の報告がある。
中学生を対象に、これまで習ったことのないエクセルの手順を学ばせるのだが、その際、ただ手順を学ばせたグループと、手順をイメージさせながら学ばせたグループに分け、その後の試験で習熟度を調査するという実験を実施した。

その結果、前者が平均解答時間403秒で合格率87.5%だったのに対し、イメージさせながら学ばせたグループでは、平均解答時間250秒で95.5%の合格率だったという。つまり、イメージしながら学んだグループのほうが、時間も速く、正確に操作できていたということになる。

この実験結果から、同じことをやっていても、頭の中でイメージを描くかどうかだけで結果は大きく変わることが分かる。伝えたい内容とイメージはセットで話すことで、説得効果も変わるのだ。

■相手からの相談はまず同意・共感を示す

また、人から相談を受けたときの最も適切な対応は、まず「そうだよね」「わかるよ」と同意・共感を示すことだ。ここには「あなたの話は正当ですよ」「私はあなたの味方ですよ」というニュアンスが含まれている。

そして、相手の話すことに耳を傾け、ただ黙っていればいい。なぜならば、相談者は「答え」を求めているのでなく、ただ「わかってほしい」だけであり、受け入れてほしいからだ。 このような肯定のこと心理学では「社会的正当化」と呼ぶという。

「でもね」「ただね」「そうかなあ」といった否定的、懐疑的な言葉は逆効果になる。もし、人の心をつかみたいなら、「そうだよね」とまず相手を受け入れることが大切だ。

 ◇

本書から人を操る心理術を知ることで、自分自身を操ろうとしてくる人に対しても、それを防ぐことができるようになる。

仕事やプラーベートでのコミュニケーションが苦手という人は、本書から人を操る心理術を学び、実践してみてはどうだろう。コミュニケーション能力が円滑に進むようになるはずだ。

(T・N/新刊JP編集部)

10秒で人を操る心理術

10秒で人を操る心理術

心理学が科学的に明らかにした「人間関係が一瞬で変わる、すごい秘密」とは?

この記事のライター

現在調査中…

T・N

ライター。寡黙だが味わい深い文章を書く。SNSはやっていない。

このライターの他の記事