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コンサルタントが日本語を学ぶワケ

近年、就職先として就活生の間で人気な業界がコンサルティング業界だ。東大生の就職希望ランキングでは、この3年間連続でコンサル企業であるアクセンチュアがトップで、外資系ファーム、野村総研などが続いている。

では、コンサルティング業界で活躍し、自分の市場価値上げるためのノウハウを身につけるには、どのようなスキルが必要なのか。そのために大切なのが「コンサル脳」を鍛えること、としているのが『コンサル脳を鍛える』(中村健太郎著、BOW&PARTNERS刊)である。

■コンサルタントが日本語を学ぶワケ

本書では、ボストンコンサルティンググループ、アクセンチュアのコンサルタントとして20年間活躍し、後進の指導にもあたってきた中村健太郎氏が、「コンサル脳」の基本スキル、トレーニング方法を紹介する。

コンサルティングファームで徹底的に鍛えられる基礎的なビジネススキルを身につけるために学ぶべきことは「日本語」「論理」「コミュニケーション」の3つだ。

たとえば「日本語」だが、日本人が改めて日本語を学ぶ目的は、思考の基盤である言語の運用に対する感度を上げることによって抽象的な考えを具体化すること。論理を学ぶ目的は、輪郭のはっきりした考えや情報を目的に沿って論理的に整理することで、説得力のある主張をつくること。そして、コミュニケーションを学ぶ目的は、論理的に整理された主張を相手の性質や置かれた状況を踏まえ、順番、表現、語り口など、最も相手に影響を与える形で伝えられるようにすること。

日本語力を高めることで思考が精緻になり、論理力を身につけることで解に至る道筋が整理され、コミュニケーションを磨くことで人の行動を変えることができるのだ。これらは、コンサルタントの三種の神器知いえるものだと、著者の中村氏は述べる。

ここでいう日本語というのは、正しい日本語、ビジネス的に正しい日本語のこと。美しい日本語、情緒と余韻と暗喩に満ちた文学表現ではない。ビジネス的に正しい文章とは、主張の内容が読み手・聞き手の解釈が一意に定まること。誰が読んでも同じ、書き手が言いたいことがその通りに伝わる文章。つまり、ああもとれるし、こうもとれるといった多義性を排除した多義性のない文章だ。

文章力というと、構成方法や表現方法にこだわりがちだが、そもそも一つひとつの文が適切ではない場合がほとんど。なので、コンサルの基本スキルの土台は、日常使っている日本語の文章を構成する一つひとつの文そのものにあるのだ。

コンサルティングファームで活躍した人のスキルレベルは一般的に高く、市場価値に直結している。ただし、それは全員ではなく、しっかりとスキルが身についている人だ。そのためにも、コンサル脳を鍛え、市場から必要とされるビジネススキルを身につけてはどうだろう。

(T・N/新刊JP編集部)

コンサル脳を鍛える

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T・N

ライター。寡黙だが味わい深い文章を書く。SNSはやっていない。

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