だれかに話したくなる本の話

集中力を持続させるためのスマホとの付き合い方

スマートフォンは私たちの生活にとってなくてはならないものとなった。
今日の予定の確認、誰かとのコミュニケーション、情報の検索、体調管理、思いついたことのメモ、そしてドラマや映画の鑑賞まで、その一台であらゆることが可能だ。

素晴らしく便利なスマホ。しかし、便利であるがゆえに私たちはスマホに様々なことを頼ってしまうようになっている。いかなる時にもスマホを側に置き、何かあると手にとってアプリを開いてしまう。

2020年11月、スマホ依存に警鐘を鳴らした本『スマホ脳』(新潮社刊)が出版され、大きな話題を呼んだ。私たちはスマホに囚われている。では、そうした状態から脱するにはどうすればいいのか?

■スマホの「通知」が効率を悪くする

『脱スマホ脳かんたんマニュアル』(A・ハンセン、M・ヴェンブラード著、久山葉子訳、新潮社刊)は、『スマホ脳』の著者らによって書かれた「脱スマホ依存」の方法を教えてくれる一冊だ。

本書によれば、私たちはだいたい10分に一度スマホを手に取っているという。1日にすると80回。確かに通知が来ればスマホに手が伸びてしまうものだし、緊急の連絡かも知れないからとりあえずは画面を開こう、となる。

著者が問題としているのは、「ちょっと」スマホを見るたびに、それまでやっていたことを中断してしまうことだ。そこで集中が途切れ、再びやり始めるには、また集中を取り戻さなくてはならなくなる。そうして効率がどんどん悪くなっていってしまう。

本書の中で著者はスマホのことを「時間泥棒」と呼んでいる。そんなに長い時間、画面を触っていないと自分では思っていても、実は意外と見ていたりする。まずはそういう自分に気づき、何か対策を打つ必要があるだろう。

■集中力を持続させるためのスマホ対策

では、スマホに気を取られないようにするにはどうすればいいのか。
「鉄の意志でスマホを見ないようにする」というのも一つの手だが、同じ空間にあるだけでも気になってしまうものだろう。

著者は「集中しなければいけない時は、スマホを他の部屋に置かなくてはなりません」(p.28より)とアドバイスする。いくつかの大きな実験では、「スマホが近くにあるだけで集中力が下がる」ことが分かっているという。だから、スマホを遠ざけることが必要だ。

また、アプリの通知にも気を配りたい。通知を切ることが対策となるのだが、いきなりLINEやメールなどのメッセージを切るのは勇気がいるだろう。だから、まずはゲームやSNSの通知から切る。SNSの通知を切れば、次々と新たな投稿があらわれ時間を奪っていく「無限スクロール」からある程度逃れることができるだろう。

 ◇

本書は「スマホ脳」のエッセンスと対策が、子どもから高齢者まですべての年代が参考にできるように書かれている。
また、一つのことに集中できない「フウタ」、SNSに夢中でいつも誰かと自分を比べる「ヒカリ」など、「スマホ脳」になってしまったキャラクターが登場し、どのように彼らを救い出せばいいのかが解説されており、そのキャラクターに自分や家族・友人を当てはめて読んでみてもいいだろう。

なくてはならないものだからこそ、かしこく付き合うことが必要なスマホ。自分の生活を振り返りながら読んでみてほしい。

(新刊JP編集部)

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