一流スパイが実践する究極の会話術・記憶術とは
スパイは歴史上2番目に古い職業と言われている。
スパイとは言うまでもなく敵対勢力などの情報を得るために情報収集活動をする者の総称で、諜報員とも呼ばれる。
ミッションに失敗すれば、国によっては死刑になったり、投獄されてしまう常に危険と隣り合わせの職業。だからこそ、長い教育期間、長い実践研修を経て、仕事のスキルを身につけていく。そして、意識せず勝手に上げる頭の回転をための思考の型、行動の型、仕事の型など、さまざまな型を身につけている。
■一流スパイが実践する究極の記憶術
『超一流諜報員の頭の回転が速くなるダークスキル - 仕事で使える5つの極秘技術 -』(上田篤盛著、ワニブックス刊)では、元防衛省情報分析官の上田篤盛氏が、世界中の優秀な諜報員の極秘技術の中から、ビジネスで使える「情報収集」「情報を分析して未来を見通す」「記憶する、記憶を引き出して整理する」「コミュニケーション」「リスクを管理して行動する」の5つの諜報員のスキルを紹介する。
情報を得ることは、諜報活動の大きな目的の一つだ。なので、優秀な諜報員は例外なくコミュニケーション上手であり、会話の達人だといっていい。そして、諜報員の優れた特技が、話し上手ではなく、「聞き上手」であること。
人の話を聞く手法として、アクティブリスニング(積極的傾聴)というのがある。これは「耳を傾ける」「観察する」「声を出す」「共感を示す」の4つのキーワードが重要。人の話に集中して、相手に適切な頻度でアイコンタクトを行う。話を聞きながら、相手の感情の波や体の様子を観察する。そして、相手の発言を別の言葉で言い返して、共感を示す。これらが聞き上手になるためのスキルなのだ。
また、諜報員には記憶力も必要だ。その理由は、秘密の活動に従事する諜報員が重要なメモを落としたり、逮捕されてメモを取り上げられると大変なことになるからだ。なので、メモを紙に書いても、スマホに記録してもいけない。では、どのように記憶力を向上させるのか。
記憶術では、「関連付ける」「情報を視覚的にイメージする」「感情を伴わせる」が三大原則として挙げられる。重要なことは情報を記憶できるかよりも、記憶した情報を必要なときに呼び起こし、引き出し、活用できるかどうか。記憶すること自体よりも、記憶に紐付く想起力を鍛えることが重要となる。
諜報員は緊迫した状況で成果を出さなければならないため、そのスキルはムリ、ムダ、ムラを排除し、シンプルで理に適っているものばかり。頭の回転が速い諜報員の仕事術をビジネスにも活用できれば、仕事のスピードも質も向上するはずだ。
(T・N/新刊JP編集部)