悩みを解決してくれる瀬戸内寂聴の名言
作家、僧侶として多くの名言を残した瀬戸内寂聴氏。その言葉の数々は、人間関係や仕事、健康、老いなどの悩みを解決するヒントになるはず。
『増補版-笑って生ききる-寂聴流 悔いのない人生のコツ』(瀬戸内寂聴著、中央公論新社刊)では、『婦人公論』に掲載された瀬戸内寂聴氏のエッセイ、対談、インタビューから健康、夫婦、子育て、老い、人づきあいといった悩みにそっと寄り添うメッセージを厳選。2020年に刊行された『笑って生ききる』(中央公論新社刊)に第五章を追加して加筆修正したものだ。
■瀬戸内寂聴が語っていた、人生における煩悩の必要性
人間は生きている限り悩むもので、その悩みから逃れることはできない。なぜなら人間には、心があるからだ。心の中には仏教で無明と呼ぶ暗いところがあり、そこには煩悩が渦巻いている。仏教の言葉の煩悩を普通の言葉に置き換えれば欲望になる。
煩悩が生み出すのが悩みであり、煩悩を一つずつ消していき、解放されるのが仏教の理想だが、煩悩がなくなってしまうと、人は生きていくのが難しくなる。お金が欲しいから頑張って働く。美しさを求めるから芸術やファッションが生まれる。欲望があるから人間は生きていける。悩み、迷うことこそが生きている証、とも言えるのだ。
生きていく上で大切なのは、笑顔でいること。仏教では「和顔施」という言葉がある。相手に笑顔を施すというのが一つに徳になるということ。ただ、イライラしているときに「笑え」と言われても難しいもの。なので、普段からユーモアを理解するように自分を鍛えておくこと。幸せは笑顔に集まってくるものなので、いつもニコニコしているよう心がけることが重要となる。
今の人たちは、常に人と自分を比較している気がすると、寂聴氏は述べている。人は人、私は私と思えず、自分をもっていない。どんな人でも、短所イコール長所であり、長所イコール短所でもある。ようは見方次第ということ。あらゆることに関して、自分なりの物差しを持つことで、人と比較する必要がなくなるのだ。
本書の中に、気持ちに寄り添い、生きるヒントとなる言葉があるはず。瀬戸内寂聴氏の言葉の数々から今の自分に合った言葉を見つけてはどうだろう。
(T・N/新刊JP編集部)