冗談が通じる人・通じない人の脳の違いとは
京都大学理学部卒業、著書が出版賞を受賞しベストセラーに。
経歴を見ると順風満帆な人生を歩んでいるように見える行動学研究家の竹内久美子さん。しかし、実際は小学校時代は授業をほとんど聞いたことがなく、高校時代はうつに悩まされ、失敗、挫折、遠回りの連続の人生だったという。
そんな竹内さんが紆余曲折の中で出会ったのが動物行動学という学問だ。この出会いによって竹内さんは一般的なものの見方とはかなり違う角度から人生について学び、考えることができるようになったという。
■ジョークを理解する人、理解しない人
『66歳、動物行動学研究家。ようやく「自分」という動物のことがわかってきた。』(竹内久美子著、ワニブックス刊)では、これまで様々な研究結果から人間を読み解いてきた動物行動学研究家の竹内久美子氏が、 「自分」という人間を読み解き、動物行動学に触れて知った人間のなぜを解読する。
ジョークが通じるタイプと通じないタイプに人間がいるのはなぜか。ジョークがわかるかどうかは脳の発達の問題だという。ジョークを言ったり、解したりするためには、右脳が重要になる。
脳内出血で右脳にダメージを受けた人と左脳にダメージを受けた人に漫画を見せる。左脳は言語脳であり、右脳は空間認識などを司るとされている。言語脳である左脳にダメージを受けた人は漫画の文句は読めないが、どこがどう面白いか理解できて、クスッと笑う。一方、右脳にダメージを受けていると、言語脳はダメージを受けていないので漫画の文句は読めるが、どこがどう面白いか理解できない。ジョークを解するには、右脳が重要ということになる。
そして、右脳を発達させるのは、男性ホルモンの代表格であるテストステロンだ。つまり、右脳が発達している男性はテストステロンのレベルが高く、ジョークを自ら言えたり、よく解することができるということになる。その人がいかにジョークを言えるのか、ジョークを解することができるかによって、本人のテストステロンのレベルの高さ、ひいては男性としての魅力を示すことにもなると竹内氏は述べる。
動物行動学の観点から私たち人間のなぜや深層心理を解き明かしていく本書。物事を少し違った角度から見て、それを動物行動学的に考える習慣を長年続けてきた竹内氏が、どのように自分自身、また人間を読み解くのか。人とコミュニケーションをとったり、生きていく上で参考になるはずだ。
(T・N/新刊JP編集部)