だれかに話したくなる本の話

【「本が好き!」レビュー】『今日のハチミツ、あしたの私』寺地はるな著

提供: 本が好き!

読み終わりました。

こちらに、というかレビューを書くのは一体いつぶりなのか。一時は読んでは書き、読んでは書きをしておりましたが、生来の飽き性ゆえ、読書はちょこちょこしておりましたが、大分ご無沙汰でレビューを書かせていただきます。

こちらの本は、たまたま知人が「最近買った本」と紹介していたものの一冊。表紙を見た途端ね、「これは私が読まなくては!」と。

ふかふか、ハチミツトロリのホットケーキ(文庫本の表紙)ね。本の中では、パンケーキ、と出てくるのですけれど、私がグッとくるのはホットケーキ。『ちびくろサンボ』のホットケーキ以来、食べ物が出てくる、もしくは食べ物が表紙に描いてある本には抗えず。無論、そうして手に取った本の中には、文のリズムが体に合わず読み終えなかったものもあるわけですが、基本、食べ物出てくる本は大好き!です。

主人公、30歳の碧。チェーンのカフェで真面目に働く女性です。画家を目指してるのか目指してないのか、色々仕事が続かない恋人「安西」と同棲数年。無論結婚なんかも気になるけれど、安西となかなかそんな話もキチンとできぬまま月日が過ぎ…そんな時、急に安西から実家に帰って父親の仕事を手伝おうかな、ついては碧も一緒にという話が発生。考えた末、仕事をやめ、安西について安西の田舎に行ったら!

碧がなんだか可愛そすぎることがいくつも起きる。私が二十代とか三十代前半とかだったら、碧の姿に感じることが違ったのかもしれないけれど、アラフィフとなる今の私からすると、「そんなヤツさっさと捨てなよ」という気持ちを持ちつつ読み進めました。

が、ややネタバレかもですが、この碧、ただか弱いお嬢さんではないのです。割とたくましいし、自分の強味も弱味も冷静に把握してるところがあり、メソっとするときもあれど、腹をくくるとまあ、強い、強い。

最初はヒモ男に翻弄される自分のない子かとややガッカリしたところがあったものの、頭を使い、行動し、人を引き付け巻き込むなかなか面白い女性の物語でした。

「蜂蜜をもう一匙足せば、たぶんあなたの明日は今日より良くなるから」

なんか色々ぱっとしないなー、と思うとき、この本を読んで、一匙蜂蜜舐めたら、元気がもらえますよ。

お久しぶりのレビューはこんなところで。

オススメ。

(レビュー:Itsuki

・書評提供:書評でつながる読書コミュニティ「本が好き!」

本が好き!
今日のハチミツ、あしたの私

今日のハチミツ、あしたの私

蜂蜜をもうひと匙足せば、あなたの明日は今日より良くなる──。
「明日なんて来なければいい」と思っていた中学生のころ、碧は見知らぬ女の人から小さな蜂蜜の瓶をもらった。
それから十六年、三十歳になった碧は恋人の故郷で蜂蜜園の手伝いを始めることに。
頼りない恋人の安西、養蜂家の黒江とその娘の朝花、スナックのママをしているあざみさん……
さまざまな人と出会う、かけがえのない日々。
心ふるえる長篇小説。

この記事のライター

本が好き!

本が好き!

本が好き!は、無料登録で書評を投稿したり、本についてコメントを言い合って盛り上がれるコミュニティです。
本のプレゼントも実施中。あなたも本好き仲間に加わりませんか?

無料登録はこちら→http://www.honzuki.jp/user/user_entry/add.html

このライターの他の記事