アメリカ出身の教育者・著述家のデール・カーネギーは、人間関係の極意や人に伝えるためのスキルを独自に研究し、『人を動かす』『道は開ける』などの著書を出版。中でも1936年に出版されベストセラーとなった自己啓発書の世界的名著『人を動かす』は現在でも多くの人に読まれている。

■「人を動かす」ために知るべき「願望」とは？

「興味はあるけど分厚い本を読むのは抵抗がある」という人には、『毎朝5分で学べるリーダーシップのコツ! カーネギー『人を動かす』の教え 見るだけノート』（藤屋伸二監修、宝島社刊）がいいかもしれない。本書では、上司や友人との会話など、日常生活の身近なシーンを例に挙げ、カーネギーの説いた原則を多くのイラストを用いてわかりやすく解説していく。

たとえば人間関係。人とうまく付き合えずに悩む人は今も昔も一定数いる。カーネギーは、その悩みに対して、決して相手を批判せず、相手を認めていると行動で示すことが大切だと説いている。

もし他人の協力を得たいなら、大切なことは相手の自尊心を満たすような働きかけを行うこと。実力不足を批判したり、ミスをけなすような自尊心を傷つける言葉を口にし、無理やり言うことを聞かせようとする上司に部下は素直に耳を傾けるはずがない。部下が成果を上げたら、しっかり褒めてあげて自尊心を満たすようにする。そうすることで、協力的な姿勢を見せてくれるようになる。

また、人を動かしたければ、その人の願望について話し合うことが大切だとしている。願望は人を動かすときの推進力となる。人が生まれてからこれまでにやってきた行為のすべては、自分の願望を叶えるためのものだからだ。まちがってもこちらの願望を相手に押しつけてはいけない。それよりも、相手が胸に抱いている願望を叶えられるように導いてあげること。願望こそが人を動かすということだ。

人とうまく信頼関係を築くにはどうしたらいいのか。カーネギーはこの問いに対して「指示や命令で人を動かそうとするのではなく、まずは自らが行動を起こし、相手が喜んで行動したいと思えるように働きかけること」と答えを記している。これは職場や家族、友人など、あらゆる人間関係に共通することだろう。

人間関係に悩んでいる人は、『人を動かす』をわかりやすく紹介している本書を参考に、人とのコミュニケーションをとってみてはどうだろう。

（T・N／新刊JP編集部）