片手間でOK。起業のハードルが下がる本
「起業したい」という思いは持っていても、資金や失敗への不安などから、なかなか踏み出せないという人はいるはずだ。
起業するからには、定収入のある会社を辞め、大きな融資を受け、オフィスを借りないといけないと思っているならば、『起業がうまくいった人は一年目に何をしたか?』(新井一著、総合法令出版刊)をぜひ読んでみて欲しい。
本書は、起業に対する恐怖心の克服方法をはじめ、「起業準備1年生」にとってのヒントが詰まった一冊。なるべくリスクも時間も、そしてお金もかけない、新しい「起業」を提案している。
■どんなにスモールスタートでもリスクはある。抑えておきたいポイントは?
著者の新井氏は、「お金と時間はこのくらいなら、ゼロになってもいいか…」と感じる範囲内で、限りなく小さく、そして深く考えずに起業してみることをすすめている。もちろん、小さく始めるのだから、いきなりの大成功は難しいかもしれない。しかし、その経験から考え方が変わり、人生の選択肢が増えたり、会社の人間関係やパフォーマンスが変わったりしているかもしれない。
新井氏は「好きなことを、好きなようにやってみてください」と述べる。起業を重く考えなくても良いのだ。
とはいえ、やはり起業にはリスクがある。では、本当に怖いリスクは何か。それは「危険な状態を知らないこと」だという。何が危険なのかを知っていれば、対策や対応ができるだろう。
起業で一番危険なことは「自分に負えない責任を負う」ことだ。
ゼロになったら生活ができなくなってしまう「お金」や、忙し過ぎて本業の会社に迷惑をかけたり、健康を害してしまう「時間」において、自分のキャパシティを超えて負担になってしまうのは怖い。
ただ、「お金」と「時間」は自分でコントロールすることができる。
「お金」に関しては、起業するときに初期コストと運転コストの2つのコストを考える。会社員を続けながら起業する場合、会社員のお小遣いの月平均が3万円以上4万円未満なので、とにかくハードルを低くして、初期コストと運転コストを合わせて月1万円以下でスタートできるビジネスが良い。
そのためには、今のまま、今あるものを使って片手間で始めることが大切だ。
「時間」については、起業後のステージでは「いかに自分でやらないで済ませるか」を考えることが必要になる。
そのために、自動化や効率化できるシステムへの投資や、ビジネスパートナーを持ち、何かあったときには助けてもらうことが大切だ。そうした未来をイメージしつつ、先に進んでいくことが重要になる。
本書は、小さく始めて何度でも修正し、アップグレードさせていく起業のノウハウを紹介している。起業前に知っておきたい基本を本書から学んでみてはどうだろう。
(T・N/新刊JP編集部)