だれかに話したくなる本の話

【「本が好き!」レビュー】『書店主フィクリーのものがたり』ガブリエル・ゼヴィン著

提供: 本が好き!
【「本が好き!」レビュー】『書店主フィクリーのものがたり』ガブリエル・ゼヴィン著

(この記事は、書評でつながる読書コミュニティ「本が好き!」レビュアーのRokoさんによる書評です)

島に一軒だけある小さな書店。偏屈な店主フィクリーは妻を亡くして以来、ずっとひとりで店を営んでいた。ある夜、所蔵していた稀覯本が盗まれてしまい、フィクリーは打ちひしがれる。傷心の日々を過ごすなか、彼は書店にちいさな子どもが捨てられているのを発見する。自分もこの子もひとりぼっち―フィクリーはその子を、ひとりで育てる決意をする。本屋大賞に輝いた、本を愛するすべての人に贈る物語。

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書店主フィクリーのものがたり

書店主フィクリーのものがたり

かつては愛する妻と二人で売っていた。いつまでもそうすると思っていた。しかし、彼女は事故で逝き、いまはただ一人。ある日、所蔵していたエドガー・アラン・ポーの稀覯本が盗まれる。売れば大金になるはずだった財産の本が。もう、なにもない、自分にはなにも。それでもフィクリーは本を売る。

そしてその日、書店の中にぽつんと置かれていたのは――いたいけな幼児の女の子だった。彼女の名前はマヤ。自分も一人、この子も一人。フィクリーは彼女を育てる決意をする。マヤを育てる手助けをしようと、島の人たちが書店にやってくる。婦人たちは頻繁にマヤの様子を見に訪れるし、あまり本を読まなかった警察署長も本を紹介してくれと気にかけて来てくれる。みなが本を読み、買い、語り合う。本好きになったマヤはすくすくと成長し……