だれかに話したくなる本の話

【「本が好き!」レビュー】『夜をあるく』マリー・ドルレアン著

提供: 本が好き!

真夜中、ママがきょうだいが寝ている部屋にやってきて、ささやきます。
「ふたりとも、おきて」
「やくそく、おぼえてる?」

あまりにもねむたくて、目がちゃんと、あかないなあと思いながらも、ふたりはいそいできがえて、パパとママと家族4人で出かけていくのです。

深い青に包まれた世界を街灯のあかりや家々の窓からもれる光が静かに照らします。

4人はやがて森の中へここからは懐中電灯の光だけがたよりです。
聞こえる虫の声、木々のざわめき、見上げれば空いっぱいにかがやく星たち。

山をのぼった4人は、肩をよせあって、目をこらします。

そこに現れたのは……。

原題は“NOUS AVONS RENDEZ-VOUS”
フランスの名高い文学賞、ランデルノー賞(子どもの本部門)を受賞し、フランスの児童文学賞、ソルシエール賞のショートリストにも選出された作品とのこと。

ストラスブールで装飾芸術を学んだという作家が描くのは、はじめからおわりまで深く美しい青をバックに浮かび上がる夜の世界です。

その青の世界で目を凝らすと、いろいろな発見があるでしょう。

耳をすませば、風の音や、木々のざわめきも聞こえてきそうで、暗やみの中にいるのが、4人だけではないこともわかります。

この絵本を手に取ったら、きっとあなたも夜の街を抜けだして、どこまでも続く空の下に出かけてみたくなることでしょう。

(レビュー:かもめ通信

・書評提供:書評でつながる読書コミュニティ「本が好き!」

本が好き!
夜をあるく

夜をあるく

真夜中に、お母さんに起こされたきょうだい。「やくそく、おぼえてる?」と、家族4人で夜の中へ出かけていきます。夏の夜は静かで、あかりが灯っていたり、遠くから音が聞こえてきたり、においにも敏感になります。やがて景色は町から自然の中へ。くらい山道、池に映る月、満天の星……そして、険しい山道を登っていった先では、うつくしい日の出が家族を迎えます。

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