だれかに話したくなる本の話

サロンの独立・開業 知っておくべきハマりがちな4つの落とし穴

「モノ消費」から「コト消費」にニーズが移り変わる中で、リラクゼーションや美容、エステ、鍼灸といった「サロン業」の独立・開業に注目が集まっている。組織に縛られることなく、自分自身でコト消費に対応でき、開業費用も比較的安価に済ますことができるからだ。

ところがその一方で、経営のイロハを知らないまま、見切り発車的にサロンを開業してしまったがゆえに、失敗してしまうケースも多々ある。

では、サロンを開業し、経営を軌道に乗せるためには、何を知っておくべきなのか。
それを知ることは「経営を学ぶ」ということに他ならない。接客だけでも、技術だけでも、空間や物件だけでも、成功はできない。全ての要素をレベル高く持ち、儲かる仕組みを作り上げることが大切だ。

『サロン開業・経営の教科書』(伊澤宜久著、自由国民社刊)は、サロン開業準備・心構えから経営を軌道に乗せるまでを説明する、まさに「教科書」的な一冊。 著者の伊澤氏自身、鍼灸マッサージ師としてサロンを開業。初月から黒字を達成し、これまで18年で6店舗をオープンしてきた「サロン経営」のベテランだ。本書には豊富な経験に基づいた伊澤氏のメソッドが詰まっている。

ここでは、本書から「知っておけば避けられる落とし穴」を4つご紹介しよう。

■お友達との共同経営はやめたほうが無難

開業の際、「一緒にやろうよ」と友人から声をかけられたり、自分から声をかけることもあるかもしれない。しかし、伊澤氏からすると、「共同経営はやめておいたほうが無難」だという。

なぜなら、友人同士という横並びの立ち位置での経営は、お互い仕事熱心だった場合、衝突が起こりやすいからだ。もし、一緒にやりたい人がいるならば、雇い入れる形で一緒に仕事をするといいだろう。

■一人で開業するときに意識すべき「性別」

一人でサロンを開業する場合、意識しなければいけないのが「性別」だ。女性一人だと、男性のお客様を受ける場合にリスクがあり、男性一人だと、女性のお客様にリスクを感じさせてしまう。

では、どうすればいいのか。女性の場合は「女性専用サロンにする」「セキュリティ対策を念入りに行う」、男性の場合は「安全だということをしっかり伝える」「女性スタッフを雇う」といった対策が挙げられる。特に効果的なのが、男女ともに異性のスタッフを雇うということ。避けるべきリスクはしっかり対策を打つべきだろう。

■指名制のデメリットを知っておく

複数名のスタッフを雇うと、次は「指名制」を取るかどうかが問題になる。伊澤氏のやり方は「指名はできる。指名料は頂く」「しかし、スタッフに対して指名は推進しないし指名料もバックしない」というもの。

指名制には、人間関係の歪みの原因になったり、定められたサービス内容を越えたサービスをしてしまったり、そのスタッフが退職をするとお客様が離れるなどいったデメリットがある。伊澤氏は自分の方針を「一般的ではない」としながらも、働きやすい環境づくりとして、スタッフに指名料をつけないようにしているのだという。

■友人・知人に仕事を頼まない

伊澤氏がよく見る落とし穴としてあげているのが「友人や知人に仕事を発注すること」。なぜこれが落とし穴になるのだろうか。
やはりこれも「共同経営」と同じで、人間関係が悪くなりがちになる点があげられる。また、確かに友人であれば、安めに仕事をお願いできるという利点があるが、その分、改善を求めにくく、お互い甘えが出やすいというデメリットもある。

ちょっとした仕事であればいいのだが、数十万、数百万以上の仕事であれば、ビジネスライクに仕事を進められる相手を選ぶべきだろう。

 ◇

こうした落とし穴を事前に知っている状態で開業するのとそうではないのとでは、大きな差が出るだろう。特に開業間もないの頃は友人や知人を頼ってしまいがちだが、頼ることでデメリットはないかしっかり考え、判断したいところだ。

また、本書では、開業・経営のための資料として、「開業前やることスケジュール」「集客チェックリスト」といった6つのファイルがダウンロードできる。これらを活用しながら、サロンの開業に向けて準備を進めていくことが可能だ。
参入しやすいからといって、ビジネスが成功しやすいわけではない。経営のことを知らないまま入り込んでいくよりも、しっかり準備をしたほうが軌道に乗る確率は上がる。

サロン開業を考えているけれど、まず何から始めればいいのか分からないという人はぜひ本書を参考にしてほしい。

(新刊JP編集部)

サロン開業・経営の教科書

サロン開業・経営の教科書

サロン業暦18年、5店舗を運営し、独立した19人のスタッフもほぼ営業し続けている著者によるサロン型ビジネスを成功に導くノウハウのすべて

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