サウナ業界を盛り上げる“売れっ子熱波師”の仕事の向き合い方とは
昨今、ハマる人が続出しているサウナ。その人気をけん引しているのが「熱波師」という存在だ。
サウナ人気の上昇に伴い、スポットライトを浴びることが多くなった熱波師。そんな業界を盛り上げ続ける存在にフォーカスした一冊が『熱波師の仕事の流儀』(サウナーヨモギダ著、ぱる出版刊)だ。
本書では、7人の熱波師たちを温浴コンサルタントのサウナーヨモギダ氏が取材。彼らがどういう経緯でその職業を選び、何を考えて風を起こしているのか、そもそも職業として成立しているのか、派手なパフォーマンスの裏で何が起きているのかを明らかにしていく。
■仕事への考え方から見える「売れっ子」たるゆえん
では、そもそも熱波師とはどんな仕事をしているのか。
まず、サウナ室にあるサウナストーブの石に水をかけ水蒸気を発生させる。これをフィンランド語でロリュウという。そして、サウナ室内に充満した水蒸気を、タオルなどを振って攪拌させ、サウナ客へ熱い風を送るのが熱波師だ。
このようなサービスは2000年前後から日本に導入され始め、2010年代半ばになると、特定の施設の従業員熱波師が他店に呼ばれ、パフォーマンスを行うようになっていったという。この頃にはプロである職業熱波師も登場するようになった。
本書では7人の熱波師が取り上げられている。その中から一人紹介しよう。
今、日本で最も稼いでいる売れっ子熱波師がレジェンドゆう氏。彼女はフリーで活躍する女性プロ熱波師である。
彼女のスタンスは進化を止めないこと。今こだわっているのが、途中で香りが変わる変化球ロリュウ。香りを重ねて変化させるという。レジェンドゆう氏は、サウナや救急、アロマ、調理師など様々な資格を持ち、元サービストレーナーや元心理セラピストでもある。
また、自分のパフォーマンス時間は、どんぶり勘定でやっていては長くなってしまうので、必ず計測して調整しているという。
さらに、お客さんの体調管理にも独自のルールがある。肩を1回叩くと注意、2回叩くと退出を勧める。3回叩くとそのままでいてくださいの合図。お客さんに無理をさせない、事故を起こさないという徹底振りをうかがうことができる。
「安心・安全」を提供するのが熱波師の仕事であり、さまざまな資格を持ち、パフォーマンスのこだわり、お客さんへの気遣いを欠かさないといったプロ意識の高さが、売れっ子熱波師であるゆえんなのだろう。
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熱波師たちの仕事へのこだわりや想いを知ることができる本書。熱波師の裏側や温浴業界を垣間見ることができる一冊だ。
(T・N/新刊JP編集部)