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【「本が好き!」レビュー】『破戒のススメ: 我慢の奴隷から脱出する44の行動哲学間』堀江貴文著

提供: 本が好き!

「破戒のススメ」というタイトルの"戒”の字について考えたみた。電子辞書などで調べると、

”戒”という字には、”用心する””緊張して備える””気を張って用心させる”、などの意味が並んでいる。また、”縛ること””縛った縄”のような意味も見受けられる。同じく人の行動を規制し、これもまた、用心もさせる、”規則””規律”などの言葉とは、やはり、少々趣は違ってくる。

規則、規律と言った場合には、どうも、客観的様相が感じられる、一方、”戒”と言った場合、そこには人の”情”と言うか、”心”の深く、くさびを打ち込むかのような印象を受ける。規則、規律と言うよりも、より拘束力を持つ。そう、”戒”の意味にある、”縛ること、”縛った縄”のイメージだ。縄でぐるぐる巻かれて、身動き取れない状態、何もできない、はじめの一歩すら踏み出せない状態である。外から人間の行動を規制するのではなく、内から規制する。規則や規律などよりも、強力な、呪縛、なんて言うと、言い過ぎかもしれないが、そのくらい強く人の行動を抑え込むものであると言いたい。そんなことを思いながらこの本を読んでみたい。

ホリエモン氏の勧めている”破戒”とは、 例えば、コロナ禍よく耳にする同調圧力を含め、あなたが行動を起こそうして、踏み出そうとする一歩を、内から押さえ込む、見えざる手によって後ろから羽交い絞めにして押しとどめるような力、あなたのやる気をそぐようなそんな力を振り切れ!という、メッセージだと思える。

そのような、目には見えないが、あなたのまわりに、ことによったら、あなたの心の内から蜘蛛の糸のように張り巡らされて、あなたの可能性を閉じ込めている壁を、”破る”ことのすすめであると考える。

その壁を ”破る”ための、哲学と言うと大げさな気もするが、考え方というか、思考のスイッチの切り替え方というか、一歩踏み出すために読者の背中を思いきり押してくるお馴染みのホリエモン節がテンポよく語られていくのである。ホリエモン節で語られているのであるが、この本に書かれていることをそのまま読者がまねして実行してみよう、と思うのは違うと思う。また、真似しようと思ったって、そう簡単にまねできるホリエモン氏の行動ではない。読者は、ホリエモン節の中にちりばめられている、”戒めを破る”ためのエッセンスをくみ取らねばならない。

例えば、ホリエモン氏は大勢の集まるイベントや、飲み会を行うことをススメているのだが、ホリエモン氏自身は、マスク、手洗い、うがい、感染しそうな場所にはいかないなど、しっかり、リスク管理をした行動をとっている。また、お金に関しても、貯金は勧めないとか、自分にはそれほど資産がないとか、うまくいっていない事業もあるとかいうのだが、プライベートジェットを買って、日本中飛び回り、移動の時間が節約できている、などと言ったりする。プライベートジェット買えるなんて、十分お金持ちじゃん、と筆者は思う。

思うに、ホリエモン氏は、自分が”戒を破る”際、当然のことながら、そこに伴うリスク管理を、しっかりとしては行動を起こしているはずだ、著書の中にそう書いていなくても。特に、お金に関しては、そこを理解しないで、貯金全部はたいて、好きなこと、やりたいことにつぎ込んでしまっては、後に来る結果が恐ろしい。この点においては、しっかりと、心の内の警告に従うべきだと筆者は感じた。いくら、”今を楽しむのにお金を出し惜しむな” と言われてもね。

ホリエモン氏のまねはできない、又、まねする必要もないと思うのだが、この本の中には、共感できる部分もあるのである。そして、その共感できる部分は、自分自身が縛られている、心の内の縛りを”破る”ことに役立ちそうであるし、同じように考えているところもあったりするのである。なので、この本で語られている、ホリエモン節のエッセンスを抽出することができるなら、この本はきっとあなたの内にあり、あなたの行動を支配している”戒を破る”ことに役立つかもしれないのである。そう考えてみるならば、この本はあなたが行動をおこす第一歩を踏み出すための、いい指南書になってくれると思う。そして、この本を読んでみて思ったのであるが、ホリエモン氏はもしかしたら努力家なのかな、と。ただ、もう大胆に突っ走るのみ、の人に見えるのだが、案外、地道にコツコツ努力しているかもしれないな、と。

(レビュー:Little My

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破戒のススメ: 我慢の奴隷から脱出する44の行動哲学

破戒のススメ: 我慢の奴隷から脱出する44の行動哲学

コロナ禍で起きる価値観の変化で様々な同調圧力が起きる昨今。個人の行動と成長を縛ることは本当に良いのか。堀江流・嫌われる勇気!

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