「いい子でいる必要はなかった」元球児の作家が見た「甲子園がなかった夏」(1)
8月29日に智辯和歌山高校の優勝で幕を閉じた全国高等学校野球選手権大会(以下、夏の甲子園)。
部員のコロナ感染による出場辞退や度重なる雨天順延がありつつ、なんとか全日程を消化した形だが、こうなると中止となった昨年の3年生の無念が今あらためて際立つ。
作家・早見和真さんの『あの夏の正解』(新潮社刊)は、春夏ともに甲子園が中止になり、野球をすることの目標と意味を根底から揺さぶられた昨年の3年生の姿に迫るノンフィクションだ。彼らはどのように甲子園の中止を受け止め、甲子園のない夏を過ごしたのか。現場での取材を通して球児たちとすごした時間について、早見さんにお話をうかがった。(取材・記事/山田洋介)