だれかに話したくなる本の話

部下が自らやる気を出すチームを作るための5つのステップ

管理職になると、これまでとは違った悩みが生まれてくる。
自分自身の業務量に余裕がなく、部下たちを管理していけるか不安。
コロナ渦でリモートワークが導入されたが、在宅の部下たちの仕事ぶりがわからない、コミュニケーションの取り方が難しい。
部下を叱るときにパワハラになってしまわないか不安。
などなど、それぞれに悩みを抱えている管理職の人が大多数だろう。このような課題を克服していくにはどんな力が必要なのだろうか。

■部下が自らやる気を出すチームビルディング 5つのステップとは

『「役割」に徹すればマネジメントはうまくいく 本物の「上司力」』(前川孝雄著、大和出版刊)では、やる気が広がり、組織が自走し始める戦略と仕組みを紹介する。

本物の「上司力」とは、部下が一人ひとりの持ち味を見出し、それを活かせる仕事を任せ、働きがいを感じながら自律的に働けるよう支援し、共通の目的に向かう組織の力につなげ高めて、個人では達成できない結果を導き出す力のこと。

従来の「指示・命令し、管理する」という方法は通用しない時代になった、というのが最近の風潮である。一人ひとりが働きがいを感じながら前のめりに仕事に取り組む状況をつくり、部下に裁量を任せて自律的に働けるような環境づくりが現代の企業には求められているのである。

これは会社全体の組織作りにかかわる「大きな問題」であるのと同時に、現場の管理職ひとりひとりにできることも多い問題でもある。自分の部署、自分のチームから組織を変えていくために、本書では5つのステップをあげている。

1.相互理解
一人ひとりが異質な価値観を持っていることを知る

2.動機形成
部下に働く目的を理解させる

3.協議意識
部下が協力しあえる環境をつくる

4.切磋琢磨
部下一人ひとりが自律的に働き、前向きに切磋琢磨し、改善・改革が進む組織にする

5.評価納得
節目ごとに部下に仕事と成果を振り返らせ、上司からの評価に納得させ、次なる成長に向かわせる

これらの5ステップを理解し、実行することで本物の「上司力」は自然と身につくという。

たとえば、ステップ1の「相互理解」では、まずは上司と部下がお互いに相手のことをしっかりと理解すること。相互理解が深まることは信頼関係の構築にもつながる。これはハラスメントリスクの軽減という意味でも重要。

部下との信頼関係を築くには、まずは上司から自己開示をすること。部下からすれば上司には言いづらいこともたくさん抱えている。急に上司があれこれ質問してくれば、詮索されているように感じるもの。なので、まずは上司がどのようなことを考えているのかを自分の言葉で部下に話すこと。その際は、何の前触れもなく部下に自分のことを話すのではなく、「お互いのことをよく理解し合うために面談したいので、時間をつくって欲しい」と意図を伝え、きちんとコミュニケーションの場を設けることが大切だ。

本物の「上司力」を身につける上で気をつけなければならないのが「上司だから人間的に偉いわけではないこと」「上司は役割にすぎないこと」だ。本書の5つのステップから「上司力」を身につけることで、部下との人間関係、チームの成長にもつながるはずだ。

(T・N/新刊JP編集部)

本物の「上司力」 「役割」に徹すればマネジメントはうまくいく

本物の「上司力」 「役割」に徹すればマネジメントはうまくいく

激変する状況だから目を向けるべきものがある。上司は「役割」とはどういうことか。「嫌われたくない」と逃げることで起こる事態。どうして自己開示が必要なのか。ベースは利他主義ではない。こんな話し方が部下のやる気に火をつける。上司力が問われる「叱る」「怒る」「褒める」。現場で人が成長する3つのステップ…やる気が広がり、組織が自走し始める「戦略と仕組み」。

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T・N

ライター。寡黙だが味わい深い文章を書く。SNSはやっていない。

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