相手にネガティブなフィードバックをする時は「かりてきたねこ」を意識しよう
自分の意見やYES、NOをハッキリ伝えられない。ちょっと強く注意すると、すぐに心が折れる。繊細な若手社員とのコミュニケーションに戸惑いを感じる管理職や経営者は少なくないだろう。
上司たちは、そういった部下と、どのようにやり取りをして、何に気を配り、どのように伝え方をすればいいのだろうか。
『あなたの職場の繊細くんと残念な上司』(渡部卓著、青春出版社刊)は、職場のメンタルヘルス・コミュニケーション改善の第一人者である著者が、旧い常識で部下を指導している上司と繊細な部下の溝を埋めて相互理解を深め、次の世代を引っ張る若手の力を伸ばすヒントを紹介する一冊だ。
■ネガティブなことを伝えるときの「かりてきたねこ」
相手の意向に沿わない意見を言わなければならないときは気が重くなるもの。こちらがネガティブな反応を示す以上、その後の影響は気になる。だから、できるだけ丁寧に、誠実に自分の意見を伝えるようにしなければならない。
そこで意識すべきことは、渡部氏の造語である「かりてきたねこ」だ。パワハラ防止や組織のコミュニケーション改善の研修などをする際に、渡部氏が必ず伝えていることだという。
では、「かりてきたねこ」とは、具体的にどんなことなのか。
か…感情的にならない
あらゆるシチュエーションでの会話の基本。感情だけが先行して、理性のつかない状態でのコミュニケーションはしてはならない。
り…理由をきちんと話す
断られる理由がわからないと「自分のことが嫌いだからだ」と相手に誤解されてしまう。なぜNOなのか、という説明をする義務がある。
て…手短に済ませる
相手は理由を聞いて、すぐに対応策を考えたいので、くどくどと長く話すのではなく、あらかじめ整理して、的確に効率よく話す準備をしておく。
き…キャラクター(性格や人格、外見や言動の特徴)には触れない
反対意見を示すときは、その人の人格や性格には一切無関係であることを強く意識すること。「君はルーズだから」など、問題の仕事とは直接関係ない理由は、人格否定的な発言はパワハラ認定されるリスクがある。
た…他人と比較しない
誰かと比較する発言は、部下のプライドを傷つけるので、むやみに他人と比較する行為は絶対にしてはならない。
ね…根に持たない
自分の意見を伝えて、相手を納得させたら、あとはスッパリと忘れること。厳しいことを言ったあとは、相手を認め、フォローする言葉を意識的に書けるようにすること。
こ…個別に伝える
相手にとって好ましくない意見は、みんなの前ではなく、個別に伝えるのは基本。オープンな場で否定的な意見を言われた部下は、恥をかかされたことになるからだ。
これらの7つの「かりてきたねこ」を意識することで、ネガティブな意見を指摘しなければいけない場合でも、人間関係をこじらすリスクを減らすことができるのだ。
相手を理解し、不安を認め、安心感を共有する。そして、若手社員の生活や心身の健康を尊重すること。部下とのやりとりに不満や不安を抱える上司は、本書から繊細な若手の胸の内を理解し、コミュニケーションの取り方を意識的に変えることで、もっと円滑に人間関係を深めることができるはずだ。
(T・N/新刊JP編集部)