だれかに話したくなる本の話

今年芸歴50年 女優・小柳ルミ子を支える人生哲学

2020年、芸能生活50周年を迎えた歌手・女優の小柳ルミ子さん。

1970年、18歳でNHK連続テレビ小説『虹』でデビューして以来、日本レコード大賞新人賞や日本アカデミー賞最優秀主演女優賞など数々の賞を受賞し、歌手として、女優として、芸能界の第一線で活躍してきた。近年では、大のサッカーファンとしても話題となった。サッカーファン歴は16年で、年間2000試合を観戦するほど。

半世紀もの間、厳しい世界を生き抜いてきた小柳氏は、68歳となったいま、どのような考え方を持っているのか。

『もう68歳と思うのか、まだ68歳と考えるのか』(小柳ルミ子著、徳間書店刊)では、小柳ルミ子さんが、「芸能界」「大人の恋愛」「老後」「美意識」などについて、長く芸能生活を送ってきた経験や学び、気付きから自分の年齢に向き合う生き方を紹介する。

芸能界で50年ものキャリアを積んだ今でも、スピードこそ緩めたものの、動きを止める気はない。「もういい年だから」「この年齢では無理よ」と、何かを諦めようとする人は、小柳さんからしてみれば「逃げ」ているいう。健康でさえあれば、何かができないことや何かをあきらめるのは年齢のせいではない。身体のケアひとつとっても、日頃からやるかやらないかで差は歴然と表れる。美しく健康に年を重ねていきたいのであれば、何かしらの行動を始めるべきなのだ。何もせずに加齢に任せていれば、衰えていくのは当たり前、ということである。

また、年を重ねていくと、どうしてもあらゆることに保守的になりがちになる。ただ、それは自分の可能性を狭める結果となる。もう〇〇歳と思った時点で成長は止まってしまう。年齢を重ねたからこそ、何にでも首を突っ込んでみるぐらいの気持ちが必要なのだ。

「もう68歳」だと思って諦めてしまうのか、「まだ68歳」と前向きになるのか。この少しの意識の持ちようの差が、大きな違いになる。小柳さんのこの考え方は、人生を最後まで楽しみつくすためのカギだろう。

見た目だけでなく、美しく年齢を重ねるには「意識」も重要。年を取るにつれ、初々しさは薄れて、恥じらいを忘れがちになる。だからこそ、鈍感になっていく自分に気づき、注意していく必要がある。どれだけ美意識を高く持ち、自分に対しても周囲に対しても気を配るかということ。謙虚と感謝の気持ちを忘れないことが大切なのだ。

「まだ68歳」と思うのか、「もう68歳」と考えるのかで、これからの生き方は大きく変わる。小柳さんは、少なくとも「もう68歳」とは思っておらず、まだまだこれからを楽しみたいし、興味のあることにはチャレンジします、と述べる。

そんな小柳さんの生き方、考え方に同世代の方は力をもらえるのではないだろうか。

(T・N/新刊JP編集部)

もう68歳と思うのか、まだ68歳と考えるのか

もう68歳と思うのか、まだ68歳と考えるのか

デビュー50周年を迎えた美淑女が気づいた、自分の年齢に向き合う生き方。「芸能界」「大人の恋愛」「老後」「美意識」。

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T・N

ライター。寡黙だが味わい深い文章を書く。SNSはやっていない。

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