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企業の人材育成にも応用される名指導者の「心づくり」 その秘訣とは?

「心づくり」指導で、体育教師、生活指導担当として、大阪の公立中学校の問題を抱える教育現場を立て直し、陸上競技部監督としては、陸上部を7年間で13回の日本一に導いた原田隆史。

今では原田氏の独自の人材育成法「原田メソッド」は、多くの企業が研修・人材育成で活用されている。また、サッカーJリーグ・浦和レッズのメンタル研修など、スポーツチームの指導にも原田氏は携わっている。

■企業の人材育成にも応用される名指導者の「心づくり」とは

『書いて鍛えて強くなる! 原田式メンタル教育』(原田隆史著、日本経済新聞出版社刊)では、著名アスリート、企業人、教師など9万人が実践するメンタルトレーニング「原田メソッド」を紹介する。

原田氏が提唱する「心づくり」指導は「心を使う」ことから始まる。「心を使う」とは、自分の未来を描くこと。具体的にいえば目標設定をするということだ。

そのために「長期目標設定用紙」「大会目標設定用紙」など、用途別の目標設定用紙を用いた「書き物指導」を原田氏は徹底した。

「書く」ことの重要性についてはこんな理由がある。
ただ思い浮かべるだけでは、毎回微妙にイメージがずれてしまい、効果が持続しないのだ。目標が文字として目に見える形で捉えられると、自分が目指すゴールのイメージが明確になり、具体的になっていく。そして、完成した目標設定用紙は、教室や部室、自分の部屋など、目につきやすい場所に貼り、それを見続けることによって、イメージは強化されていくのだ。

また、目標を設定し、書いてイメージしたら、その目標を成果につなげるために期限を決めて、周りの人に宣言することも重要。原田氏自身、陸上部の監督に就任したときに「3年目で日本一を作れなければ教師をやめる」という期限を決めて、目標を設定したという。

もうひとつ、目標設定の技術として、掲げた目標を見失わず、モチベーションを高めるために「目標を4つの観点で広げる」という方法がある。

4つの観点の1つ目は、「日本一になる」「昇給する」といった「私-有形」の目標。この目に見える目標は、以下の3つの観点に紐づいている。

・「私-無形」…幸せな気持ちになる、毎日が充実している
・「社会・他者-有形」…先生が優勝監督になる
・「社会・他者-無形」…陸上部の雰囲気がよくなる、両親を誇らしい気持ちにさせる

最近の子どもたちは、「見えないもの」にも価値を見出すため、これらの4観点で広げる目標設定が効果的なのだ。とくに、「社会・他者-無形」は、スポーツ選手がよく発言する「いい成績を残して皆さんに勇気を与えたい」というものにあたる。「自分以外の誰か」「目には見えない利益や幸せのため」を追い求める人ほど、より素晴らしい結果が出ている、と原田氏は述べる。

表紙

目標設定用紙による心づくりの「原田メソッド」は、子どもたちのスポーツだけでなく、企業の育成にも応用できる。目標達成がうまくいかなくて悩んでいるという社会人も、「原田メソッド」を活用してみてはどうだろう。

(T・N/新刊JP編集部)

書いて鍛えて強くなる! 原田式メンタル教育

書いて鍛えて強くなる! 原田式メンタル教育

大阪の荒れた公立中学で決然と立ち向かい、子供たちに夢と感動を与え続けた元カリスマ体育教師の人材育成手法。普通の子どもたちを陸上日本一へと育て上げた独自メソッドは、著名アスリート、企業人、教師など9万人が実践するメンタルトレーニングとなった。多くの人生を好転させた名作がついに文庫化。

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T・N

ライター。寡黙だが味わい深い文章を書く。SNSはやっていない。

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