新刊ラジオ第1910回 「さよなら、ムッシュ」
――これからは、ぼくがせいたろを守るから。
小さな出版社で校正の仕事をしている森星太朗は、幼いころに他界した母に作ってもらったコアラのぬいぐるみ・ムッシュを大事にしていた。
ムッシュは、母が亡くなったその日にしゃべりだし、以来、星太朗の無二の親友となっていた。
そして、そのまま20年の時が過ぎたある日、しゃっくりが止まらなくなった星太朗に大きな転機が訪れる。
映画脚本家、監督として活躍する片岡翔、待望の小説デビュー作!!
装画は、松本大洋氏の描き下ろしです。(提供・小学館)
読む新刊ラジオ 新刊ラジオの内容をテキストでダイジェストにしました
話すぬいぐるみとの友情物語
みなさんこんにちは。ブックナビゲーターの木村希美です。
さて、突然ですが、みなさんは誰にも言えない秘密はありますか?
誰しも人には言えない秘密が一つや二つあるものですが、例えば、ぬいぐるみと友達! なんて、周りに紹介できますか。
ましてや、それが自らの意志で動いて喋るぬいぐるみだとしたら……。
今回ご紹介するのは、子供のころから20年以上、喋るぬいぐるみと暮らしてきた青年の友情の物語です。
さっそく見ていきましょう。
小さな出版社で校正の仕事をしている森星太朗。彼には20年間秘密にしてきたことがあるのです。
それは、他界した母に作ってもらったコアラのぬいぐるみ・ムッシュが、自らの意志でしゃべり、動き出したこと。
星太朗の母は、膠芽腫という脳のガンで亡くなってしまいますが、ムッシュは母が亡くなった日からしゃべりだすようになり、その日以来、星太朗とムッシュは無二の親友となったのです。
それから20年が経ち変わらず一緒に暮らしている二人ですが、ある日、星太朗のしゃっくりが止まらなくなってしまいます。
そのしゃっくりによって、この物語は大きく動き出していくのです。
といったところで、今回もドラマをお聴きいただきましょう。
ぜひ、本編をお聴きください。
◆著者プロフィール
片岡翔さんは、1982年、北海道生まれ。映画脚本家、監督。
2010年「くらげくん」でPFF準グランプリを受賞、同作にて全国各地の映画祭で7つのグランプリを含む14冠を達成。2014年に初の長編映画「1/11」で商業映画デビューされました。脚本家として、映画「きいろいゾウ」「夏美のホタル」など。本作「さよなら、ムッシュ」は小説家としてのデビュー作となります。