新刊ラジオ第1879回「チャンスをつかむプレゼン塾 」
プレゼンは、仕事でも日常でも必要不可欠なものです。企画や夢を実現させるためには、プレゼンの上手さや小さな工夫が大切になってきます。「話すときにどう相手へ伝えるか」「話の構成はどうするか」など、プレゼン方法で結果は大きく変わるのです。「チャンスをつかむプレゼン力」をつけるためにはどうすればいいのか。その方法をわかりやすく教えてくれる一冊です。
読む新刊ラジオ 新刊ラジオの内容をテキストでダイジェストにしました
企画を通したい人のためのプレゼン法とそのノウハウ
こんにちは、ブックナビゲーターの木村希美です。
中谷さんが今回書かれたこの本は、せっかくいい企画でもプレゼンを通すことができない人や、部下に対してチャンスをつかむプレゼンを教えたい人に書かれている、プレゼンの教科書です。
さて、早速内容の方に入ってまいりましょう。
まず第1章より「企画が、うまくなるのではない。企画の通し方が、うまくなるのだ。」という項目からご紹介します。
中谷さんがCMプランナーを務めていた博報堂のお仕事は、アイデアを作り、それをクライアントにプレゼンで通すことだったそうです。その際、通る企画と通らない企画の違いは、企画のよさよりもプレゼンのうまさだったと中谷さんは言います。
プレゼンで通る企画は同業者も考えていることで、クリエイティブ能力が発揮されるのは、その企画をどう通すかというところ、つまり「企画をどうしたらもっと面白くできるかより、どうしたらプレゼンで通せるかを考えろ」ということだったそうです。
それではどんな方法でプレゼンをしたらよいのでしょうか。
初めに大切なことは「まず1人、熱狂的な支持者をつくる」ことだと書かれています。
どういうことかといいますと、たとえば、3人の友達に「4人で晩ごはんを食べに行こう」と誘うとします。
この時、聞き手の3人全員をその気にさせようとするのではなく、まず「行こう、行こう。いいね」という支持者を一人つくるのだそうです。
それによって、いい方向に流れが変わります。
最初から「えー」と抵抗している人になんとか賛成してもらおうとすると、流れが悪くなってしまいます。
わかりやすい例だと笑いも同じで、笑っていない人を笑わせるより、今笑っている人をもっと笑わせようとすればいいのです。
ギャグに笑ってくれる人と笑わない人の差ってありますよね。
そんな時ついつい笑わない人にも笑ってほしい思いから、その人に向けて話した結果余計に避けられて逆効果だったなんて経験、ある方もいらっしゃるんじゃないかと思います。
プレゼン会場でも同じで、聞き手が3人でも100人でも、まずその中で支持者を1人つくり、その人をさらに熱烈な支持者に変えていくという話し方をするのが、チャンスをつかむ人のプレゼンだと言います。
抵抗している人に何とかその気になってもらおうとムリをすると、自分の話に余裕がなくなったり崩れたりしてしまいます。
大切なのは支持者を見抜き、その人に向かって話すこと、そうすると自分も乗ってきますし、ノリのいい空気が広がっていきます。
確かに自分の意見に最初に誰かが同意してくれると安心しますし、自信にもなりますよね。プレゼンでは場の空気ってとても重要なのです。
◆著者プロフィール 中谷彰宏さん、1959年大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業ののち、84年に博報堂に入社しております。CMプランナーとして、テレビ、ラジオ、CMの企画、演出を担当されていました。91年に独立し、株式会社中谷彰宏事務所を設立。ビジネス書から恋愛エッセイ、小説まで、多岐にわたるジャンルで数多くのロングセラー、ベストセラーを送り出しています。また「中谷塾」を主宰し、全国で講演、ワークショップ活動を行っていたり、コメンテーターや俳優としてもご活躍をされています。
話の構成は3段階
さて、以降の章では話の構成の仕方や伝え方が書かれています。
例えば第3章『構成は「あるある」「なんで」「なーるほど」』という項目について触れてみましょう。
構成で大切なのは、『つかみ、展開、オチ』の3段階だと中谷さんは言います。
「あるある、そういうことあるよね」と思ってもらうと、距離がぐっと近づきますよね。
つかみで聞き手の共感をつかみ、次の展開で「なんで」「おや?」という驚きをもってもらいます。
それでさらに話に惹き込み、最後は「なーるほど」とオチをつけます。「おや?」と思った緊張がここで緩和されるのです。
中谷さん曰く「人生が変わる1分間の深イイ話」の3行ラブレターでは、この3段階構成をしているそうです。
たとえばこんな話。
1行目「放課後の体育倉庫の裏で、彼女に渡したラブレター」、定番の「あるある」です。
そして2行目「断ってほしかった」。
ここで「なんで」と思います。
最後3行目「親友からのラブレターだったから」、ここで「なーるほど」です。
親友のかわりに渡している男子生徒も彼女が好きなのでしょうが、その説明は一切ないのに、切なさが伝わってきます。
こんなふうに「あるある」→「なんで」→「なーるほど」という3段階で、シンプルに構成するのが人を惹きつけるプレゼンの話し方なのだそうです。
確かに、惹きつけられる話って、あぁわかる!と自分と共通するところがあったり、なんでだろうと話の続きが気になったりします。
CMなんか見てても、こういうことでお困りではありませんか? という問いかけから始まるものって多くありますよね。
これはこの「困ったことあるある」を引き出す構成なのかなと思いました。
あるあるって思うと次に、なんでこの商品はこんなにすごいの? と思いますし、その結果最後まで観る、なんてことよくあるのかなと思います。
今後プレゼンする際には、この3段階を意識してお話してみてはいかがでしょうか。
この他にも本書では、プレゼン相手との関係のあり方や、具体的な意見の述べ方、プレゼン準備の心構え、そして伝え方の大切さについて書かれています。
日常でも、もちろんビジネスの場でも、自分の提案をどう受け入れてもらうか、どう実現させたらいいかをわかりやすく教えてくれる一冊です。