だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1875回 「言いにくいことをハッキリ言っても好かれ​る人の習慣」

「言いたいことを言えずに後悔した」という経験はないでしょうか?日本人はついつい「自分の意見」を言わずに「いい人」に徹しがちです。ですが、自分の言いたいことをハッキリいっても、周囲に好かれ、愛されることはできるのです。本書は「相手を否定せず」「ありのままの自分」でいれるコミュニケーションのコツを教えてくれます。(提供・すばる舎)

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「言いたいことを言う」ために捨てるべき6つの思考

こんにちは、ブックナビゲーターの矢島雅弘です。

さて、今回ご紹介する本はまさにタイトル通りの内容で、『言いにくいことをハッキリ言っても好かれる人』になるための習慣づくり、言葉や心構えをどのようにすれば良いか、ということを僕たちに教えてくれます。

第1章の「他人に合わせすぎていませんか?」から内容を少しご紹介しましょう。

皆さんは、つい場を丸くおさめようとして「いい人」であろうとしてしまいせんか?

人が何かを主張しても、ニコニコ笑って「いいですね」「そうですね」と、とりあえず肯定してみる。仮になんとなく相手の主張が分からなかったり、肌に合わなくても、そのまま流してしまう人、結構多いのではないでしょうか?

能町さんは、オーストラリアに居た際に、そのような「いい人」で居ると、「何を考えているか分からない人」というレッテルを貼られてしまうと言っています。

また、オーストラリアでは、よく「君はどう思う?」と意見を求められるので、日本に居た頃は意識しなかった「自分の意見・考え」というものをまとめる必要性も感じたそうです。

こういうと、「それはオーストラリアだからでしょ?」と文化の違いと片付けてしまいそうですが、能町さんによれば、「自分の意見を言う」「自分を表現する」ことにも喜びがあるのだそうです。

分かりやすいのは会話のキャッチボールができるということ。

自分の意見を言って初めて、成立する双方向のコミュニケーションというものがあるのですね。

なので、つい「場をおさめようとして、いい人になりがちな人」は、この「自分の意見を言う」ことの大切さを今一度確認して下さい。

それと関連して、能町さんはいい人の危うい部分にも触れています。

これは能町さんの経験からくるそうですが、秘書時代、「いい人」ほど燃え尽き症候群になりやすく、言いたいことを言えないまま、退社してしまうことが多かったとも。

(これは確かに、「うつ病」関連の本でも、いい人ほどうつ病になりやすいとよく書かれていますよね)

そして「言えなかった後悔」よりも「言ったあとの後悔」の方が清々しいとも述べています。

(「告白できなかった後悔」よりも「フラれた後悔」、「チャレンジしなかった後悔」よりも「失敗した後悔」の方が清々しいですものね。)

なので、この本ではまず「言いたいことをハッキリ言いましょう」「本音で生きられる世界」に行きましょう、と勧めてくれるわけですね。

で、本音で生きるためには、次の6つの思考を捨てると良いそうです。

1.どうせ私なんて・・・という自己否定感

2.みんなから好かれないといけない、という八方美人な態度

3.争いたくない、という平和主義

4.いい人でいたい、という自己犠牲

5.「好き嫌い」にとらわれる視野の狭さ

6.「みんないい人」と思いたい性善説

この6つ!皆さん、これ良い本ですよ。

とくに引っ込み思案だったり、つい「いい人」になりがちな人は、この6つのどれかあるいは複数、もしくは全部が引っかかっていると思います。

僕個人も、学生時代から「言いたいことを言える」ように、視野の狭さ→八方美人→自己犠牲→自己否定感と、捨て去ってきましたが、平和主義はまだ捨てきれてない感じがします。

そして、性善説については、考えもしなかった!というか、本を読んでる段階ではそれ捨てて良いのか!?と思ったのですが……確かに人とのコミュニケーションにおいて、自分ではどうしようもできない人っていうのは居ます。

こういう時に、性善説は捨て去るべきなんでしょうね。

◆著者プロフィール 能町光香さん。株式会社リンク代表取締役。人材育成コンサルタント。 青山学院大学、ザ・ユニーバーシティ・オブ・クイーンズランド大学院を卒業し、10年間外資系企業で社長・重役秘書を務めます。日本では数少ない上級米国秘書検定保持者の方で、「日常的に英語を話しながら仕事をしたい」と希望した結果、秘書の仕事に就く事となりました。

建設的な会話は「イエス」ではなく「ノー」から始める!

さて、この6つの思考を捨て去って、ハッキリ物事を言えるようになれば、それは確かにラクでしょう。

でも、そんな事をしたらわがままな奴って思われないかな?人に嫌われないかな?と思っている人もまだいると思います。

そこで、本書の2章以降では、ハッキリ本音を言うにしても、どういう心構えや言い方で相手に伝えれば良いか、という事が書かれています。

例えば分かりやすいところでは、3章にある「上手な断り方」について。

まず心構えに関しては、「ノー」があるから「イエス」があるという事。

そして建設的な会話は「ノー」から始まる。という事を覚えておきましょう。

この「建設的な会話はノーから」っていうお話は、僕の心に響きましたね。

よく、会議なんかが泥沼になると、「建設的な意見を出そう」なんて言うじゃないですか?だから、建設的な意見=良いことって、僕は常々思ってるんですが、その建設的な意見を言うためには、まず「ノー」があるんですよね。

誰かが、何かに、反対をするから、「じゃあどうしようか?」と建設的な流れになる。

なので、「イエス」だけでは建設的な意見は出ないんですよね!

さて、ちょっと脱線してしまいましたが、「上手な断り方」について、具体的な言い方のコツを紹介しましょう、能町さんによればポイントは3つ。

1.余計な言い訳をしない

2.なるべく早めに断る

3.断る理由を述べる

この3つです。

例えば、あまり興味のないコンサートに誘われて断りたい時、返事を保留せずに「誘ってくれてありがとう、でもその日は先約があるから」とか、仲の良い友達ならば「ごめんね、あまりそのコンサート興味ないから」と、キッパリと、それでいてサラっと言ってしまう方が、自分と相手への負担が軽くなるでしょうね。

僕も確かに、断り方は苦手なので、参考にしていきたいですね。

この他にも本書には、上手な叱り方、褒め方、お願いの仕方や苦手な人との付き合い方、また、ハッキリと本音を言いながらも、嫌われないためのコツなどが書かれています。

著者の能町さんが言うように、「他人の言いなりになる人生からサヨナラ」して、「ありのままの自分」でいても好かれ、愛される人生に変えていきましょう。

言いにくいことをハッキリ言っても好かれる人の習慣

『言いにくいことをハッキリ言っても好かれる人の習慣』

言いにくいことをハッキリ言っても好かれる人の習慣

働いてる人なら誰しも、読みながら思わず「そうだ、そうだ」とヘッドバンキングしてしまうはず。