新刊ラジオ第1866回 「代体」
大病や大怪我をしても、意識を取り出し「代体」という器に移し替えて、日常生活を続行できるようになった日本。大手代体メーカーに勤める八田輝明は、代体に意識を映したまま、本体が死んでしまった患者というケースに遭遇していた。法律上、肉体の死が人間の死とされている社会で、八田は何もできず、意気消沈する患者を見届けることしかできなかった。
しかし、後日、その患者が行方不明となり、無残な姿となって発見されるという事件が起こった。
『百年法』でSFジャンルに一石を投じた山田宗樹の問題作!!(提供・KADOKAWA)
読む新刊ラジオ 新刊ラジオの内容をテキストでダイジェストにしました
人間の“死”とはどういうことなのか
こんにちは、ブックナビゲーターの矢島雅弘です。
第1563回の新刊ラジオで紹介させていただいた『百年法』、その山田宗樹さんの新刊をご紹介です。
舞台は近未来の日本。
そこでは、携帯の代替機や車の代車と同じような感覚で、人間の「代体」技術が発達していました。
人の意識を取り出し、仮初の身体「代体」に移し替え、大病や大怪我をしても、本体は治療に専念させ、代わりの身体で日常生活を送ることができるというスタイルがビジネス化されています。
代体技術がどんどん発達していく中、大手代体メーカー・タカサキメディカルの営業部に勤める八田輝明も、最新鋭の代体を医療機関に売り込んでいました。
そんな時、自分が担当していた患者・喜里川正人が代体使用中に行方不明となってしまいます。
喜里川正人は行方不明になる前、自分の本体が医療事故で病死してしまい、法律に則って死亡宣告を受けており、あとは代体の内臓エネルギーが消えるのを待つだけという存在となっていました。
彼はいったいどうしてしまったのか。
そして、この事件を機に代体を廻った様々な陰謀が世界を震撼させていくことになるのです。
それでは、物語の一部をドラマにしましたので、どうぞ本編をお聴きください。
◆著者プロフィール 山田さんは、1965年、愛知県生まれ。 『直線の死角』で第18回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、作家デビューされました。2006年に『嫌われ松子の一生』が映画、ドラマ化され大ヒット作になります。 2013年『百年法』は第66回日本推理作家協会賞を受賞、新刊ラジオでもご紹介させていただきました。
代体 |