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本が好きっ! 鬼頭あゆみのインタビューラジオ

『本が好きっ!』は、話題の本の著者をゲストに招いてお送りするインタビュー番組です。本についてはもちろん、著者の人となりや、成功体験、考え方、ビジネスのちょっとした気づきやなど、聞いて役立つトークをたっぷりお届けします。

ゲスト: 経済アナリスト 塚澤 健二さん

『未来からの警告 II トランプの破壊経済がはじまる』

塚澤健二さん、鬼頭あゆみの写真

「マネーの第二次世界大戦」開戦?

鬼頭: 早速ですが、今回読ませていただいた「未来からの警告Ⅱ」の冒頭に、トランプ大統領の登場によって第二次世界大戦と同じクラスの「破壊」が経済面に起こるとありました。まずはこちらについて詳しくお聞きしてもよろしいでしょうか。

塚澤: まず現状から申し上げますと、ちょうど世界大戦の開戦時・終戦時と同じような動きが今起きているんです。ただ、次に始まろうとしているのは、過去のような物的な破壊ではなく、「マネーの破壊」。つまり、実際の戦争ではなく、「マネーの第二次世界大戦」が開戦される、もしくは既に開戦しているかもしれない、という事です。

鬼頭: なるほど……。トランプ大統領になってから株などは上がっていますし、一見経済が上向きになっていると感じる方も多いかと思うんですが、そうではないんですか?

塚澤: 確かに株は上がっていますが、それだけですね。株というのは実態経済を反映している訳ですから、今はそれをマネーで釣り上げているだけの状態なんです。という事は、何かのきっかけでマネーが収縮する時が来ると、かさ増しさせている部分が一気になくなってしまいます。リーマンショックというのはまさにこの現象ですね。また、今おっしゃったように多くの人が楽観的になっているというのも非常に危険な状態にあたります。少しでもマネーの収縮が始まれば一瞬にして経済が崩れてしまいます。逆に、全員が注意を怠らなければショックは起きにくいですし、被害も最小限に抑えられます。地震なんかもそうですよね。対策グッズを準備していない時に限って激しく揺れて、大きな被害が出たりするのと同じです。

鬼頭: たしかに……。地震もきちんと対策さえしていれば大丈夫ですもんね。

塚澤: もう一点補足しますと、アメリカに恐怖指数(VIX)という、上がれば上がるほど人が恐怖を感じている事を示す数値があるんですよ。詳しくは本を読んでいただきたいのですが、この指数を見るだけでも、現在いかに多くの人が楽観ムードになっているかがお分かりいただけるかと思います。

鬼頭: その数字ともしっかり向き合って警戒意識を高めておく必要がありそうですね。

塚澤健二さんの写真

「継続」より「破壊」が選択される世の中

鬼頭: ただでさえ多くの人が油断しているところへ、トランプ氏が大統領に就任して「破壊」が始まろうとしている訳ですが……。

塚澤: もともとトランプとヒラリーの名前が大統領選に挙がった時、市場関係者を含む大半の人がヒラリーの当選を予想していましたよね。万が一トランプになったら株が大暴落するとも言われていました。ところがトランプが就任してみると、先程おっしゃたように株は上昇しましたよね。大統領選予想が外れて、その後の展開も多くの方にとって予想外の結果となっていきました。

鬼頭: そんな中、塚澤さんは現状を予測されていたんですよね?何か主な根拠はあったんでしょうか。

塚澤: そうですね。現状の予測は立てていました。とういうのも、このままじゃ世の中は前に進まないと思ったからなんです。今の世の中はガチガチに固まってきているので、新しい何かを創造するには現状を破壊しなければいけない。今まさにその過程に入ろうとしているんですよ。ヒラリーだと現状が継続していたでしょうね。なので、あの大統領選はアメリカにとって「破壊」か「継続」かの選択だったように思います。似たようなケ―スがイギリスでもありました。イギリスがEUから離脱するか否かの国民投票が6月に行われましたよね。実はこれも「破壊」か「継続」かの選択だったんです。

鬼頭: あれも驚きの結果になりましたね。多くの人の予想に反したように思います。

塚澤: そうですね。あの時もEUに残留=「継続」よりも、離脱=「破壊」が選ばれた訳ですが、「破壊」の方が選択されやすくなってきているという世の中の動きを、多くの人が見誤ってしまった結果のように思います。

塚澤健二さん、鬼頭あゆみの写真

歪みが生じた「マネー」と「実態経済」の関係

鬼頭: 「破壊が選択されている」と聞くと、少し怖いような気もするのですが、これは都合の良い事なんでしょうか。

塚澤: 今の世の中って、良い給料をもらっている層がいる傍ら、不満を持っている人たちが溢れているんですよ。貧富の格差がとにかく激しいんです。このままだと、貧困な層は何も変わらないばかりか、もっと悪化してしまうかもしれない、でもこの流れが破壊されれば我々が浮上するかもしれない……という期待が持つようになる訳です。つまり時代が「破壊」を選ぶ方向になっているんですね。これと同じような動きがちょうど戦後の時代に起きていて、さらに当時の経済の統計数字の一部とも非常に近くなっているので、間もなく戦後の焼け野原と同じような状態になるだろうという事を、私自身以前から予測していました。

鬼頭: そうなんですね……。そんな未来は全く想像すらしていなかったんですけど、確かにデータで見ると、数字が今後の経済の動きを物語っていますね。

塚澤: そうなんですよ。ここで見落としがちなのが、戦後は「物」が大量に破壊されて、その深刻さが一目瞭然だったので、当時に比べると、物が何も破壊されていない今の世の中はみんな幸せそうに暮らしているように思えます。ですが、先程も言いましたようにこれから起こるのは「物」の破壊ではないんです。マネーの世界戦争になるわけですから、「マネーの破壊」が起こるんです。ところが一般の方はこの事についてあまり知らないと思いますし、何が起きているのかもよく分からないですよね。

鬼頭: 確かにそうですね……。とはいえ、今後一般人にも破壊の影響は出てくるんですよね?

塚澤: それはもう物凄く出てきます。現在は実体経済よりマネーの経済の方がはるかに大きいんですよ。つまり、マネーを膨らませて実体経済をなんとか維持しているというのが現状です。なので、突如マネーが収縮した際に備えて、一般の方も現実をきちんと把握していく必要がありますね。例えば投資をされている方は、今の株価が実体経済に見合っているかどうかなど……。

著者プロフィール

塚澤健二

1960年生まれ。経済アナリスト。日本証券アナリスト協会検定会員。北海道大学工学部卒業後、理系出身アナリスト第1号として、日興リサーチセンターに就職。ジャーデン・フレミング証券、J.P.モルガン証券などで、23年にわたりトップクラスのアナリストとして活躍。2007年10月に独立し、講演活動や投資コンサルタント業務で活躍。独自の経済予測モデル「T2」による経済分析の的確さ、未来予測の的中率の高さで人気を集めている。経済・投資の真実を伝えることをテーマにした塚澤.comを主宰。

パーソナリティプロフィール

鬼頭あゆみ

1976年、愛知県生まれ。フリーアナウンサー。活動拠点を東京に移す前は、東海テレビ放送のアナウンサーとして、主にニュース番組、プロ野球番組などを担当。フリーに転身後は、TBS「サンデーモーニング」やNHK「探検ロマン世界遺産」などに出演。

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