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本が好きっ! 鬼頭あゆみのインタビューラジオ

『本が好きっ!』は、話題の本の著者をゲストに招いてお送りするインタビュー番組です。本についてはもちろん、著者の人となりや、成功体験、考え方、ビジネスのちょっとした気づきやなど、聞いて役立つトークをたっぷりお届けします。

ゲスト: コミュニケーション・ファクトリー代表 中川路 亜紀さん

『入社1年目から差がつく! ビジネスメール即効お役立ち表現』

「これを丁寧に伝えたいんだけど……」意外とひらめかないビジネスメール文

鬼頭: まずは中川路さんご自身の事について伺いたいと思うのですが、普段はどんな活動をされているんですか?

中川路: 以前はビジネス文章の本を書いていたんですけど、今はビジネスメールの本や雑誌の原稿を書いたり、取材を受けたり、会社の研修でお話しさせていただいたりしています。

鬼頭: そうなんですね。やはり最近はどの会社でもメールの方の重要性というものは増してきているんですか?

中川路: そうですね~。どの会社もメールのやり取りを軸に仕事を進める流れになってきていますので、たぶんみなさんも一日のうち、メールを書いている時間はかなり長いと思います。

鬼頭: 確かにそうですね。ちなみに執筆にはどのようなきっかけで至ったんですか?

中川路: 今の若い方たちは、チャットとかで気楽にやりとりする事にはとても慣れてらっしゃると思うんですけど、少し畏まらなければならない場合や、シリアスな文章を書かなければいけない時、あるいは心を込めて物事を伝えたい時に、最適な言い回しがなかなか思い浮かばず、時間を割いてしまうケースが多いんじゃないかと思ったんです。

鬼頭: そうなんですよね。私もちゃんとしたメールを書こうとすると、かなり時間をかけてしまいます。

中川路: そこで、例えば丁寧にお礼を言いたい時や、物事をお願いしたい時など、シーンごとに適した表現をパッとひける本があればいいなと思ってこの本を書きました。

鬼頭: そういう意味ではこの本、辞書のような感覚で欲しい言い回しを見つけられるので、すごく便利です!

中川路: 前置きも極力削りましたので、様々なケースに応じた表現がぎっしり詰まっております(笑)

誤用してしまいがちな敬語表現

鬼頭: ビジネスメールを書くときは、自然と堅い文章になってしまう事がほとんどかと思います。そこで、本の冒頭でも触れられていました「慣れ慣れしくなく、よそよそしくない」メールを書くためには、どのような事に心掛ければいいんでしょうか?

中川路: ビジネスメールで重要なのは、自分の中にどれだけ表現の貯蓄があるかという事と、貯まった敬語表現をどれだけ上手に使えるかという事なんです。なので、ボキャブラリーと敬語の用法さえしっかり押さえれば、思い通りのメールがスラスラ書けるようになると思います。そのためには色々なメール文に触れることが大切で、例えば先輩のメールを参考にしてみたり、相手先のメールの書き方を真似てみるといった訓練がメール力の強化には有効なんですけど、今回の本を利用すればよりスムーズにメール力が上達すると思います。

鬼頭: そうですよね。そういうメールの書き方ってちゃんと習う機会があまりなかったので、この本一冊持っているだけで安心感があります。逆に、ビジネスメールにおいてこういう表現をしてはいけないみたいなルールはあるんでしょうか?

中川路: 最近気になっているのは、社内の相手と社外の相手に対する敬語の使い分けがいまいちピンと来ていないという方が増えているという事です。例えば、社外の人間に自分の上司の事を敬語で表現してしまうケースですね。「うちの課長がおっしゃってました」とか……。

鬼頭: うーん、無意識のうちにやってしまっているかもしれません。

中川路: 外の人に対して、内の人の事は低めて話すというのが敬語の法則なので、そのあたりが分かっていないと、メールを見た人は「あれ?」と思ってしまいます。

鬼頭: 基本的な事に思えて意外と見落としがちなんですね。あと、自分の会社の部長を指す時も、相手先には「○○部長」という言い方をしてはいけないんでしたよね?

中川路: そうですね。名前の後ろに肩書がついてしまうと敬称になってしまうんですよ。これだと自分の会社の部長を高めた伝え方になってしまいます。「部長の○○」と呼び捨てにすれば、ちゃんと身内を低めた表現になります。

大切なのは「相手の事を思い浮かべながら」メールを打つ事

鬼頭: 本の中で、親しい間柄の相手に伝える「ほっとする一言」を紹介されているページがありましたが、具体的にはどのような表現があるんですか?

中川路: 私の考え方としては、ルーチンのメールはそんなに凝らなくてもいいんですけど、同じ担当者同士でいつも連絡をとっていると、お互いに親近感が沸いてくると思うんです。そこで「今日は風が強いですね」とか「今日は電車が止まっていましたけど、影響はありませんでしたか?」みたいな感じで、季節や時事の話題をちょっとだけ書き足してみると、お互いにほっとして親交も深まると思います。

鬼頭: そういうフレーズはたしかに使えそうですね!他にも実用性のある表現がたくさん紹介されていたんですけど、中川路さんはこのようなメールの表現をどんな時に、どうやってお気付きになるんですか?

中川路: 相手の事を思い浮かべてみると、いろいろ思い付きますね。「あの人たしか中央線だったっけ」とか、「今日は風が強くて大変な思いをしているかもしれない」とか。

鬼頭: なるほど。相手の事を気遣っていれば、自然と浮かんでくるものなんですね。

中川路: そうですね。他の例も挙げるとすれば、相手が子育て中の女性社員の方だったら、「こんな雨の日は保育園の送り迎えが大変だったんじゃないか」とか、そんな事を思いながら書いたりする事もあります。ただ、ここで気をつけなければならないのは、こういう事を書かなきゃいけないと思い込み過ぎて、使う相手を間違わない事ですね(笑)。やはり相手との距離感が大切で、ほっとさせる一言は「こういう事を書きたいな」と思えるくらい親近感のある人に向けて使うのがいいかなと思います。

鬼頭: ビジネスメールも全てをカチカチにするのではなくて、直接人と会ってやり取りをする時と同じように、相手との距離感を考えて送る事が重要なんですね。

著者プロフィール

中川路亜紀

兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社勤務を経て独立。1998年、コミュニケーション・ファクトリーを設立。ビジネスコミュニケーション関連の企画・著述活動を行っている。

パーソナリティプロフィール

鬼頭あゆみ

1976年、愛知県生まれ。フリーアナウンサー。活動拠点を東京に移す前は、東海テレビ放送のアナウンサーとして、主にニュース番組、プロ野球番組などを担当。フリーに転身後は、TBS「サンデーモーニング」やNHK「探検ロマン世界遺産」などに出演。

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