不動産投資は組み合わせが9割

不動産投資は組み合わせが9割

著者:木村 洸士
出版:合同出版
価格:1,760円(税込)

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本書の解説

「お金」を取り巻く環境は大きく変化している。円安や燃料費高騰などの影響による値上げは、家計に打撃を与えており、「このままでは今の生活が維持できなくなる」と危機感を覚えている人も少なくないだろう。さらに、老後の資金問題など、考えることは山積みだ。

そうなるとお金を増やす手段、「投資」に目が向く。
株式や国債など、投資にはさまざまな種類があるが、その中でも根強い人気を誇るのが「不動産投資」である。

資金面と規模感から近寄りがたいイメージを持つ人も多いが、「収入の安定化、資産構築の両立の実現ということでいえば、取り組みやすい」と語るのが、賃貸経営のノウハウを学ぶことができる「神・大家さん倶楽部」の創設者・木村洸士さんだ。

しかし、不動産投資にはリスクもある。その中で成功への精度を高めるためには「正しい方法をマスターし、実践すること」が必要だ。そこで木村さんは著書『不動産投資は組み合わせが9割』(合同出版刊)で、自身の編み出した戦略的な不動産投資法を公開。成功する物件オーナーのノウハウを伝授している。

不動産投資の勝ちパターン「トライアングル不動産投資」とは

木村さんの提唱する不動産投資の戦略は「トライアングル不動産投資」という名に特徴づけられる。トライアングル、つまり三角形のように3つのステップを辿って資産を増やしていくのだ。ここではその3ステップを簡単に説明していこう。

STEP1:「戸建て」への投資
最初のステップのポイントは「先の投資を見越して戸建てに投資する」こと。本丸はまだ先にあるのだが、それを見越して、そこに至るまでの過程を盤石にするために戸建てに投資をするというイメージだ。

ただ、本丸は先にあるといっても、最初のステップが最も重要には違いない。安く購入した戸建ては比較的高く売ることができ、さらに保有している戸建てを担保に融資を受けることもできるため、その後の資金面に大いに影響を与える。また、管理運営や賃貸経営など、ここで得られる経験は大きいと木村さんは述べる。

STEP2:「新築アパート」への投資
次のステップは「新築アパート」への投資だ。戸建て投資によってある程度不動産投資に慣れ、家賃収入や売却益で原資を得られたら、次は集合住宅に取り組む。木村さんいわく「集合住宅への投資は、不動産投資の要」。複数の入居者を獲得でき、安定した賃貸経営がしやすいのがアパートだ。

では、なぜ中古ではなく新築なのか? その理由として、アパートの場合、購入は金融機関から融資を受けることになるが、中古アパートと比べて新築の方が、融資が下りやすいという。また、アパート運営のリスクとして築年数や使用状況に応じて修繕が必要になるが、新築アパートの場合はそれを加味する必要がないというポイントも。

STEP3:「中古アパート」への投資
戸建て、新築アパートと経て、次は「中古アパート」への投資だ。これまでの経験を活かしてより盤石な不動産投資を実現していく。

木村さんは中古アパートを収入・資産形成の要と位置づけ、戦略的に収入・資産を拡大していくことをすすめている。中古アパートは融資が出にくいものの、物件価格そのものが安いため利回りが高く、収益率が高くなることが多い。また最初から入居者がついている場合もあり、メリットが大きい。

STEP1:「戸建て」への投資
STEP2:「新築アパート」への投資
STEP3:「中古アパート」への投資


この3つのステップを踏みながら物件を買い進めていくことで、自分の資金力を高めていきながら資産を増やしていくことができるというわけだ。

 ◇

ここでは「トライアングル不動産投資」の3ステップの概要について取り上げたが、それぞれのステップで気を付けるべきポイントや物件管理のノウハウなど、他にも知っておくべきことはたくさんある。そこは本書に詳しく書かれているので、目を通してみてほしい。

不動産投資による資産づくりは、一朝一夕にはいかない。着実に資金力を高め、拡大していく。本書はそのための戦略を教えてくれる一冊。不動産投資をこれから始めようと考えている人、不動産投資の世界に興味がある人がある人にとってはおおいに参考になるはずだ。

(新刊JP編集部)

インタビュー

木村 洸士(きむら・たけし)

■「トライアングル不動産投資」、最初に戸建てに挑むメリットとは?

まずは本書を執筆した経緯や、何を伝えたいと思って本を書こうと思ったのかについてお話をお聞かせください。

木村: 不動産投資は正しいやり方をすれば結果はちゃんとついてきます。そのことを多くの人に広めたいという思いがありました。

お金に対して不安を抱いている人は少なくないと思います。いつ働けなくなるか分からないし、老後の資金として「2000万円」必要とされているとも言われます。そういったお金の心配をカバーするのが投資です。ただ、投資に対するリスクであったり、怪しさを感じている人も多いですから、そういったイメージを拭えればと。

おっしゃる通り、投資をしたときのリスクをまず考える人は多いと思います。損をしてしまうのではないかという。

木村: それはそうだと思います。私自身もチャレンジしたての頃は失敗しましたが、いろいろ試す中で、個人的には不動産投資は成功しやすいジャンルだと気づきました。現金を建物や土地に替えるだけですし、それを売ればお金が入ってきます。でも、成功しやすいはずなのに、成功できない人もいる。それはなぜかというと、やり方を知らないからです。

木村さんは「トライアングル不動産投資」を提唱しています。これは「戸建て」「新築アパート」「中古アパート」という3つのステップを繰り返す方法です。ポイントを教えてもらえますか?

木村: これまでの不動産投資は、「戸建て投資法」とか「新築アパート投資法」というように、(投資法を教えている)先生が得意なジャンルを絞って教えるということが多かったと思います。ですが、大家さんの立場で考えたときに個別(の投資法)でやっても、なかなか金額がスケールしないということが起こります。

では、規模を大きくしていくためにどうすればいいのか考えたときに、戸建てだけではなく、新築アパート、中古アパートの組み合わせが必要になります。そこで自分の中で辿り着いたのが本書で提唱した「トライアングル投資」でした。

ポイントは、まずは戸建てから始まり、新築アパート、中古アパートへと段階を上っていくことです。最初は戸建て、それもボロ戸建てです。安く購入して、安く修繕する。できるならばDIYでもいいでしょう。最初にかかる費用を抑えて、戸建てを貸し出す。そうすると家賃収入が入ってくるので、その状態で次は新築アパートに行きます。

新築アパートを購入する場合、金融機関からの融資が必要になりますが、そうなると返済が発生します。そこに不安を感じる人もいるかもしれないけれど、すでに戸建てで家賃収入があるはずなので、そこから賄うこともできるはずです。何よりも戸建てを通して、不動産投資の経験値を積んでいるはずなので、「最初は戸建て」というのは重要なポイントです。

戸建ての次は、中古アパートではなく新築アパートなのが意外でした。

木村: 戸建てで経験を積んでいるので、そのまま中古アパートに行くことも可能なのですが、実は新築アパートの方が、融資が出やすい傾向にあるんです。それに新築なら修繕なども必要ありませんからね。だから最初のステップとしては「戸建て」「新築アパート」「中古アパート」がおすすめなんです。

もちろん、絶対このフローでないといけないというわけではありません。ただ、不動産投資に慣れていない人であれば、この進め方がおすすめです。

不動産投資で家賃収入を得るというと、入居者がしっかり確保できるかどうかが大切だと思います。戸建て賃貸の需要は高いのでしょうか。

木村: そう思います。実は賃貸用の戸建ては数が少ないのですが、ファミリー層を中心に住みたいという人は多いです。アパートやマンションだとどうしても平米数や部屋数が限られてしまいますが、戸建てだと2階建て100平米のような物件もありますし、昨今のテレワークの普及から家で仕事をする人が増えるなかで、仕事部屋需要にも対応ができたりするんです。だから、地方や郊外の戸建ては貸し出したらすぐに埋まることが多いです。

一方、アパートは競合過多になっている部分があります。その意味でも、戸建ての賃貸は優位性がありますし、入居者がつきやすいという意味で、不動産投資の経験を積みやすいと思います。

アパートはある程度経験を積んでから手を出したほうがいいのでしょうか?

木村: アパートだと高額なローンを組むことがほとんどだと思います。そうなると、実際にアパートを購入したときに、実はその物件の立地が悪くて需要が薄かったという事態になった時に、戸建ての段階で入居付けの経験があればなんとかなるかもしれません。

また、戸建てから新築アパートに進む際に戸建てを売却して資金を得る手もありますが、その売却も経験値になります。最初は手に入れた物件を売ることに怖さを感じると思いますが、戸建てで経験しておけば、意外とすんなり売却できるようになるんです。

実は私も最初はアパートに手を出したんです。でも、それで失敗をしてしまって。だからもし最初から不動産投資をやり直せるのであれば、戸建て投資から始めますね。

■不動産投資、成功への一歩は「目的意識」を持つこと

ここからは木村さんご自身についてお話をうかがいたいのですが、不動産投資を始められたきっかけは何だったのですか?

木村: システムエンジニアだったのですが、20代後半にストレスから体を壊してしまって、頻繁に筋肉の痛みや頭痛に悩まされるようになってしまったんです。そのうちに体が動かせない日も出てきてしまって、このまま働けなくなったら収入はどうするんだろうという不安が出てきました。何とか会社には復帰しましたが、副収入となり得るものを探すことにしたんです。

もう一つのきっかけは老後のお金の不安です。親世代を見ても、一生懸命働いたからといってお金に余裕がある老後生活ができているかというと、そうではないような気がします。これだけ大変な思いをして働いて、体も壊して、将来も不安で…これが本当に安定と言えるのだろうかと考えたときに、収入が会社だけということはリスクにしか感じなかったんですね。

だったら、会社員だけにこだわる必要はないと思って、投資の勉強を始めました。株式も勉強しましたし、投資信託も見たりして。そういう風にいろいろ見ていった中で不動産投資に辿り着いたという経緯です。

不動産投資を始めるときに元手はどのくらいだったのですか?

木村: 28歳で貯金が400万円ですね。でも最初の中古アパートを購入するときに、その貯金から頭金を出したので貯金がいきなり100万円を切ってしまいました。

そこから少しずつ手を広げていったと。

木村: そうです。ただやっぱり最初は苦戦しましたし、手探りでしたね。不動産投資というジャンルが投資として良くても、物件の買い進め方次第ではお金の減り方が全然違いますし、多くの方の場合、自己資金が尽きてしまったりします。銀行も住宅ローンとは違って常に満額融資してくれるわけではないので、どういう風にやりくりしていけば買い進めていけるのかは悩みどころでした。

道が開けた瞬間というとどのタイミングだったのでしょうか。

木村: 1棟目の入居がなかなか埋まらず、2棟目として100万円で購入した物件もボロボロ過ぎて修繕にお金がかかってしまいました。その時は貯金が9万円になっていました。

その時、家賃収入は入り始めていたものの、これは何年たてば元に戻せるのだろうと考えたときに、一度仕切り直したほうがいいと考えたんです。それで、買い進め方が間違えていたことを認めて、購入した物件を売りに出したところ、1棟目の物件はそんなに利益が出なかったのですが、100万円で買った2棟目の物件は500万円で売れたんです。税金抜いても400万円くらいは手元に戻ってきました。

道が開けたのは、このタイミングですね。不動産投資もやり方を工夫すれば利益が出るという手ごたえをつかんだというか。それから、良いやり方って一体どういうやり方だろうと追究し始めていきました。

その中で、「トライアングル不動産投資」という手法はどのように編み出したのですか?

木村: 中古アパートの売却で経験を積むことができたので、次は新築アパートに進みました。新築は比較的融資が出やすいですから、新築に手を出そうとプランを組んで。その時には不動産投資の勉強もだいぶしていて、新築アパートから中古アパートという順番の買い進め方が良いということを知っていたので、自分としてはスムーズに事を運べたのですが、その少し後から戸建て投資にも手を伸ばしてみたんですね。

そうしたら、戸建て投資の良さに気付きまして。不動産投資のスタートに戸建て投資をやったら、リスクを最小限にしつつ経験を積めると思ったのです。不動産投資ってどうしてもアパートのイメージが強くて、1棟目から戸建てってなかなか想像できないと思うのですが、自分としては戸建てを最初に持ってくるのが理想だと考えました。

それで「トライアングル投資法」の買い進め方が形成されたわけですね。不動産投資を始める前の準備についてお聞きしたいのですが、これから不動産投資を始めようと思っている人はどんなことに気を付けるべきですか?

木村: 準備というか、なぜ不動産投資をするのかという目的意識、目標設定はしっかり持つようにすべきだと思います。自分が不動産と通してどういう風になっていきたいのか、しっかりイメージできている人の方が成功できると思います。

今、会社員をしている人であれば、不動産投資を成功させて会社を辞めてもいいわけですし、会社員の収入以外のもう一つの収入の柱として不動産投資を考えてもいいです。その違いによって目標も大きく変わってきます。

また、そうした意識付けをするためには、不動産投資についてしっかり勉強することが大事ですね。私もたくさん本を読んで、大事なところには線を引いて、理解して覚えて、理論武装、知識武装をして投資を始めた記憶があります。

最後になりますが、本書をどんな人に読んでほしいと思いますか?

木村: 今、会社勤めをしている方で、収入の不安があったり、老後の資産が心配という方ですね。また、不動産投資を始めてみたけれど、どうしても次のステップへの進み方が分からないという方にもできるだけ手に取って読んでほしいです。

実際に始めてみると、戸建ても、新築アパートも、中古アパートもあって、どうやって買い進めていけばいいのか分からなくなると思うんです。複数を組み合わせていく感覚をつかむのは意外と難しくて、どうしても戸建てなら戸建てだけ勉強するという風になってしまいがちなので、その感覚を身につけてもらうためにも、早めに本書を読んでみてほしいですね。

(了)

書籍情報

目次

  1. はじめに
  2. 序 章
  3. 100万円から無理なくスタート! 賢く資産を増やすトライアングル不動産投資とは
  4. 【STEP1】年50万円の収入と資産を手に入れる! 郊外戸建て購入の基礎知識
  5. 【STEP2】戸建てからステップアップ! 新築アパート購入の基礎知識
  6. 【STEP3】年収1000万円、資産1億円を実現! 中古アパート購入の基礎知識
  7. 成功するオーナーの物件管理術
  8. 【体験者の実例】トライアングル不動産投資で人生が変わった人たち
  9. おわりに

プロフィール

木村 洸士(きむら・たけし)
木村 洸士(きむら・たけし)

木村 洸士(きむら・たけし)

さくらいふ株式会社代表取締役/「神・大家さん倶楽部」講師

1981年、千葉県千葉市生まれ。千葉大学工学部卒業。
賃貸経営歴12年。アパート・戸建て合計で24棟経験。家賃収入年5000万円、利益2000万円を実現。賃貸経営講師業、障がい者グループホーム経営など、3事業4社を経営。
取得資格:賃貸経営実務検定2級、簿記2級、ファイナンシャルプランナー3級。

学生時代は勉強もせず、毎日夜遅くまでTVゲームばかりして過ごす平凡な学生生活を送る。その後学業に一念発起し、県内難関高校へ入学。大学受験にも精力を傾け、千葉大学へ入学。卒業後は大手企業に入社、SEになるも、自分のキャパを超えて働き続けた結果、心身の疲弊で会社を休みがちになり、将来の不安に苛まれた。老後資産の不安を実感する。ある日、書店で手に取った書籍で不動産投資を知り、実践。多くの失敗や試行錯誤をしながら10年をかけて新築/中古アパート・戸建てを24棟購入し、賃貸経営業として独立。知的障害を持つ姉の影響から、いつか福祉の仕事に関わりたいという夢を持ち、2019年、障がい者グループホーム経営を開始。同年、賃貸経営をもっと多くの人に広めるべく、「神・大家さん倶楽部」を創設、講師活動を開始。「トライアングル不動産投資」の実践によって、収益を積み上げる受講生を多数輩出。

「神・大家さん倶楽部」 ホームページ
https://kamiooyasan.jp

不動産投資は組み合わせが9割

不動産投資は組み合わせが9割

著者:木村 洸士
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