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2011年03月07日 16時配信

家を建てるときに気をつけなければいけないこと


『そうか、こうやって木の家を建てるのか。』で田鎖さんは“タブー”に挑んでいるという
『そうか、こうやって木の家を建てるのか。』で田鎖さんは“タブー”に挑んでいるという
 2週にわたってお送りしている、株式会社エヌ・シー・エヌ代表取締役社長として木造建築の普及に務めている田鎖郁男さんへのインタビュー。
 前編では、現在の木造建築の問題について言及してもらったが、今回は田鎖さんが上梓したばかりの『そうか、こうやって木の家を建てるのか。』(小学館/刊)の内容を中心にお話をうかがっていく。
 後編となる今回は家を建てる際には何に気をつけるべきか? 良い工務店に出会うにはどうすればいい? 役立つ知識が満載だ。

前編「防げたはずの阪神・淡路大震災の家屋倒壊…」はこちらから

■後編:“この本には建築業界のタブーが書かれている”

―では、家を購入する際に騙されないようにするためには、どのようなことに気をつけるべきですか?

田鎖さん(以下省略)「まずは家を商品と思わないことですね。完成品と考えないこと。例えばドアがあるとして、それとは違うドアをつけたいと思ったら、大工さんに頼めば明日にでも作業してくれますよ。つまり、家は完成品にならないんです」

―家は住んでいる人間とともに成長していくということですね。

「そうです。それは伝統建築においてもそうだし、今、皆さんが住んでいる家も同じことです」

―他に、騙されないようにするための方法としては何がありますか?

「これは、正しい知恵をつけることに尽きますね。その知恵とは…まあそれは今までも語ってきたことや、あとは本書『そうか、こうやって木の家を建てるのか。』を読んで頂ければ幸いなのですが(笑)、でも、騙されないと思っている人こそ騙されますから、身につけておいて損はないはずです。
あと、こういう知恵というのは、実は誰にも言ってはいけないタブーなんです。住宅メーカーや工務店の手口を暴露しているわけですから。しかも企業人が、ですよ(笑)」

―田鎖さんはどうしてそんなタブーをおかしてまで、本書を出版したのでしょうか。

「私の目的は家がたくさん売れることの前に、阪神・淡路大震災で倒壊したようなひどい建物がなくなることが第一優先順位だからです」

―それは心強いお言葉です(笑)

「私個人としては、騙される・騙されないといった矮小な議論を行うよりは、どのようにして良い工務店と出会うかというポジティブな考えをして頂ければと思っています。本当に一生懸命、献身的にお客様のために家を造ってくれる人と出会うと、必ず良い家を手に入れることができます。
特に重要なのは、その後のフォローやケアですね。例えば家が雨漏りしても、水道が事故で止まっても必ず直せるし、より良い家に変わるんです。これは欠陥ではありません。大工さんだって完璧じゃないし、一級建築士だって試験で100点を取らないと取得できない資格ではないんです。必ず人間はミスする。そのとき、いかにそのミスに献身的に対応してくれるかというのが実は大事なんですよ」

―それは完成品を買うという考え方ですと、そういう風に考えることはできませんよね。

「完成品というのは、失敗がないということですからね。でも家に限っては、失敗がないから良いということではないんですよ」

―では、良い工務店に出会うために、どのようなことに気をつけるべきですか?

「本書の中にチェックシートを設けています。ここでは減点法と加点法、両方の項目がありますが、減点法ではこれは完全に詐欺の手口ですというものを挙げています。でも、これまで話してきたように、やはり加点法の項目のほうが大事ですね。
例えば、この項目の中に、「完成保証はついていますか?」というものがあるんですが、これは自分の会社が万が一倒産してしまうときのことを考えた上でつけるものです。会社が倒産しても、施主が死んでも、お客様の家はちゃんと完成させますという保証ですね。自分が死ぬということまで計算しながら家の建築を請け負って差し上げようという人なんて、どう考えても良い人ですよね。良い人を選ぶには、悪いところを探すより、良いところを探す。これが良い出会いの秘訣です」

―木造建築は環境に優しいなどのイメージから、大きく注目を集めるようになっていると思います。ただ、実際にはまだ「(鉄筋コンクリートと比較して)壊れやすそう」といったイメージがあるように感じるのですが…。

「それは木造建築に対する偏見なんですが、こうした偏見が生まれてきた背景には、木の家というのが科学的な分野などで学会に取り入れられてこなかったことがあります。その結果、大工さんはパチンコ屋に行くというようなイメージが植えつけられてしまったと思うのですが、実際彼らはものすごく勉強しています。その部分は知って欲しいですね。
また、素材によって強い弱いというのは、実は論じる対象ではないんですよ。例えば鉄でも硬く作ることができれば、柔らかく作ることもできます。バネは鉄を柔らかくしていますよね。木も同じです。硬くできるし、柔らかくすることもできる。だから木だから壊れやすそうと思うのは少し違うかなと思います」

―では、最後にこのインタビューで本書を知った方々にメッセージをお願いします。

「実は伝えたいことは、これまでに全て言ってしまっているんですが(笑)、家を建てるときは、どのようにしたら良い人に出会えるのか、そしてその良い人たちと長く付き合っていける家の普請の仕方を本書から汲み取って頂ければと思います」

―この田鎖様の話を聞いてから、本書を読むとかなり見方が変わると思います。

「そういって頂けると嬉しいです(笑)。本当にどういう人に頼めばいいのかな、ということを具体的にイメージしながら読んで欲しいですね。そして、もし分からなかったら、この本を持って私に聞きにきてください。教えてあげます(笑)。1000社くらい工務店やハウスメーカーを知っているので」

―もしかしたら、そういう風に工務店さんを紹介する人も必要なのかも知れませんね。

「昔はその土地をよく熟知している長老がいたんですよ。そして彼らがいちいち教えてくれた。やれあの工務店は手抜きが多いとか、付き合いが悪いとか、そこの工務店はなかなか腕がいいとか。ただ今は、家の完成品が売られていて、それを購入するとき誰が造ったわからないシステムになっています。そういう部分から、ミスマッチが発生していると思います」

―実際に工務店さんと一緒に造り上げていき、その後もだんだんと変えていける家を造ることが大切なんですね。

「そういうことです」

(新刊JP編集部/金井元貴)

■プロフィール
田鎖郁男(たくさり・いくお)
株式会社エヌ・シー・エヌ代表取締役社長、ムジネット株式会社専務取締役。1965年埼玉県生まれ。
千葉大学工学部卒業後、日商岩井(現・双日)入社。木材本部に在籍し主にアメリカ、カナダからの木材輸入を担当する。96年に株式会社エヌ・シー・エヌを設立し、2006年6月より代表取締役社長を務める。
またアメリカのフランク・ロイド・ライト財団から正式に認可を受け、日本でライトの建築物を復活させる事業にも携わる。工務店やビルダーの質的向上、施工主の建築知識の充実が、いい家づくり、ひいては、いい町づくりに繋がるとの考えから、木造住宅における構造計算を推進する工務店ネットワークを主宰する。趣味は、読書、海外旅行、ゴルフ時々サッカー。
主な著書に『木の家の選び方5つの法則』、『家、三匹の子ぶたが間違っていたこと』、『三匹の子ぶたも目からウロコの二〇〇年住宅』などがある。

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