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2010年06月22日 14時配信

「ファンクの帝王」の生き方から見える“人間力”


祥伝社40周年記念作品は、日本人に欠けている“人間力”を問う評伝シリーズだ。
祥伝社40周年記念作品は、日本人に欠けている“人間力”を問う評伝シリーズだ。
 祥伝社の40周年記念出版として『ガリマール新評伝シリーズ』が刊行された。これは、フランスの老舗出版社であるガリマール社が刊行している評伝シリーズから、特に優れた作品をピックアップして日本語訳、出版したもので、ジャック・ケルアック(小説家)、ジェームズ・ブラウン(ミュージシャン)、シャルル・ド・ゴール(政治家・軍人)など、豪華かつユニークなラインナップを誇る。
 このシリーズの編集長を務める祥伝社の小川さんにお話を聞いたところ、どの人物を取り上げるかに関しては「今、日本人に必要とされている“人間力”を感じることができるもの」というコンセプトに従ったそうだ。
 
 「人間力」という言葉は曖昧で、定義することは難しい。しかしジェームズ・ブラウンの巻を読むと「人間力」とは何かがぼんやりと見えてくる。
 ジェームズ・ブラウンは、ご存じ老若男女問わず人々を魅了した“ファンクの帝王”だが、アメリカ南部出身の黒人である彼にとって、そこまでの道が平坦であるはずがない。幼少時から生活は苦しかったし、人種差別は当然のように彼の身近にあった。窃盗罪での服役も経験したし、所属していたレコード会社から契約を打ち切られるという危機もあった。
 それでも彼は腐ることなく、自らが情熱のやり場として選んだ音楽で、生き馬の目を抜くショービジネスの世界を生き抜いたのである。

 彼は決して善良な人間ではないし、打算的な一面もある。バンドメンバーで等分する約束だった収入を彼が独り占めしてしまったこともある。それでも、成功するためにあらゆる努力をし、あらゆる手段を使おうとした彼のたくましさ、しぶとさから我々が学ぶことは多いだろう。
 「人間力」とは何か?
 無限に答えがあるこの問いだが、ジェームズ・ブラウンの人生は間違いなくその一つを我々に教えてくれる。 
 本作の解説文で映画監督の井筒和幸はこう書いている。
 
 偽者でもいいんだぞ、この俺のようになれば、ガッツとソウルさえ持続できれば、生きていけるのだ。ジェームズ・ブラウンは世界中にそんなことを云い放っているようだった。サヴァンナ川の丸太小屋で生まれようとも、母が家を去ろうとも、靴磨きをしようとも、オーガスタの売春宿で育てられようとも、自動車のバッテリーを盗んで懲役刑を喰らおうとも、キング牧師が暗殺されて黒人居住区が蜂起しかけようとも、ブラックパンサーの賛歌を吠えようとも、アフリカに戻ろうとも、動物用の麻酔薬にさえ蝕まれて警官とカーチェイスになろうとも、何があろうとも、だ。
(新刊JP編集部/山田洋介)



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