老いの不安が楽になる 「老後をやめる」という考え方
貯金は足りるのか、何を生きがいにしたらいいのかわからない、一人ぼっちで寂し毎日を過ごすようになるのでは…など、老後の不安を抱えている人は多いだろう。不安になるのは当たり前だが、問題は必要以上に不安が高まることだ。これでは無駄に気持ちがネガティブになり、毎日を楽しくことができなくなる。
となると老後不安をいかにコントロールするかが、人生の後半戦を豊かなものにするカギといえそうだ。そのためには、「老後をやめ」てみてはどうか。
■老いの不安が楽になる 「老後をやめる」という考え方
『老後をやめる 自律神経を整えて生涯現役』(小林弘幸著、朝日新聞出版刊)では、順天堂大学医学部教授、日本スポーツ協会公認スポーツドクターの小林弘幸氏が、老後をやめることで人生の後半戦を豊かにするためにどんなことを心がければいいのかを医師としての知識や小林氏自身の経験を交えつつ紹介する。
いつまでも元気にいるためには、まず考え方を根本から変える必要がある。定年を「ゴール」ではなく、単なる「通過点」ととらえるのだ。ゴールだと思った瞬間に「老後」という考え方が生まれ、残りの人生がおまけになってしまうからだ。人生100年時代と言われている今、おまけの期間は20年、30年、もしかしたら40年にもおよぶかもしれない。おまけと呼ぶには長すぎる。
定年が仕事上の一つの区切りであるのは確かだが、人生のゴールではない。定年を通過点ととらえる。あるいは、新しい人生のスタートととらえることが大事なのだ。
定年後は付き合う人も変わり、仕事という日常もなくなり、環境が大きく変わる。この変化により、自律神経は大きく乱れ、「老い」が一気に加速してしまう危険性がある。では、自律神経の老化を防いで、若々しくいるためには、どうしたらいいのか。食事・睡眠・運動の3点が重要になる。この3つのうち、一番重要なのが運動だ。なぜなら「動かない」は「食べられない」「眠れない」に直結するからだ。
運動で小林氏がおすすめするのが適度なウォーキングだ。毎日20~30分くらい近所をゆっくりマイペースで歩くだけでかまわないという。ウォーキングをする時間帯は、朝よりも夜がいい。朝は交感神経が高まる時間帯なので、血管が収縮し、筋肉が硬くなっているため、ケガのリスクが高まる。副交感神経が優位になる夕食後から寝る1時間前までの間にウォーキングをすることで、全身の血流がよくなり、眠りの質の改善や肩こり、腰痛の軽減にもつながる。歩き方は「ゆっくり」を意識して「1、2、1、2」と一定のリズムで歩くことがポイントとなる。
生涯現役で60代以降も、心も体もイキイキと豊かな人生を過ごすためにも、ウォーキングなど、本書を参考に出来ることから始めてみてはどうだろう。
(新刊JP編集部)