だれかに話したくなる本の話

SNS時代の必須スキル「言葉のセンス」の身につけ方

誰でもSNSでコメントを発信できる時代になり、見る人を惹きつけるセンスある言葉に触れる機会が増えた。自分もこうした気の利いたコメントや発言をしてみたいと思う人も多いはずだ。

しかし、的外れなコメントや相手の感情を逆なでするようなコメントをしてしまうとすぐに炎上してしまうのも現代のインターネットの特徴である。その中で求められているのが、共感性の高い的確なコメントや人々を唸らせるオリジナリティのあるコメントを発信できる「言葉のセンス」だ。もちろん、言葉のセンスは生まれつきのもの、感覚的なものではなく、トレーニングによって誰でも習得できるものだ。

■現代のコメント力はネットに学べ!「ワードセンス」を身に着けるために見るべきもの

『教養のある人がしている、言葉の選び方の作法』(齋藤孝著、ぱる出版刊)では、明治大学文学部教授の齋藤孝氏が、「センスがある」「一味違う」と思われる言葉の正体を解きほぐし、その習得の仕方を解説する。

日常的に言葉のセンスを磨くにはどうしたらいいのか。齋藤氏が実践しているのは、ネットニュースでたくさんのコメントを読むことだ。ネットニュースのコメント欄を200~300件毎日チェックし、YouTubeのコメント欄、書評、テレビ番組や映画評などをひたすら読んでいるという。

1日に数百ものコメントを読む中で、自分が思いもよらない見方や感想に触れ、こういう「モノの言い方」かあるということを学ぶことができる。そして、同時代の社会的な感覚を常に養うこともできる。物事にはいろいろな見方があり、そこからさまざまな物の言い方について自然に学ぶことができる。

「何か共感できるな」「センスがいいな」と思うものをたくさん読んでいるうちに、「言葉のセンスのいい人はどこが違うのか」がわかってくるので、具体的にどこがいいのかを分析すればいいということだ。

また、語彙を増やすことで、よく言葉を知っている人の話し方ができるようになる。語彙を増やす練習として、慣用句を知っておくことが基本となる。まず身につけて起きたいののが、身体の部位に関わる慣用句だ。

たとえば、「頭」を使った慣用句で「頭が上がらない」という言い方がよく使われる。あの人には借りがあるから「頭が上がらない」というように、引け目や負い目があって対等な関係に立てないときに使う。「手」を使った表現も多くある。「手をこまねく」は、何もしないで放っておくというようなときに使う。このように状況に応じた慣用句を取捨選択して使えると、周りから一目置かれる表現ができるかもしれない。

齋藤氏は、言葉のセンスの極致はやはり「笑い」であり、クスッと笑いを誘うユーモアを感じさせる文章やコメントだと述べる。SNSのコメントや日常の会話を楽しくするためにも、言葉のセンスを磨き、正しく、上手な言葉の使い方を身につけてみてはどうだろう。

(T・N/新刊JP編集部)

教養のある人がしている、言葉選びの作法

教養のある人がしている、言葉選びの作法

言葉のセンスは、生まれつきのものではない。
誰にでも習得可能なものである。

SNS全盛の現在、誰もが持つ願いといえば、「センスのある言葉を発信したい」。
しかし同時に、「言葉のセンス」といえば、生まれつきのもののように感じられ、 あきらめてしまいがちではないでしょうか。
ところが、言葉のプロ・齋藤孝先生によると、言葉のセンスは決して生まれ持ったものではなく、 トレーニングによって身につけられるといいます。
そこで本書では、齋藤先生に、「センスがある」「一味違う」と思われる言葉の正体を 丁寧に解きほぐし、その習得の仕方を解説していただきます。

この記事のライター

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T・N

ライター。寡黙だが味わい深い文章を書く。SNSはやっていない。

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