だれかに話したくなる本の話

古典文学で描かれた「日本一有名な肝試し」とは

『闇で味わう日本文学: 失われた闇と月を求めて』(中野純著、徳間書院刊)

『万葉集』『源氏物語』『今昔物語集』『雪女』『舞姫』など、日本文学の名作には印象的で豊かな「闇」の場面が多い。
そんな日本文学の中に描かれている日本のやわらかい闇とやわらかい月の情景が実際どんなものだったかを探り、体験するのが体験作家・闇歩きガイドの中野純氏だ。

闇で味わう日本文学: 失われた闇と月を求めて

闇で味わう日本文学: 失われた闇と月を求めて

『源氏物語』、『今昔物語集』、『雪女』、『舞姫』……。
時代を超えて愛される名作には、印象的な「闇」の場面が登場することが多い。
目の前の人の顔も見えない闇とほのかな灯り、怪しいモノの存在を感じさせる山道の真っ暗闇、夜を明るく照らす神秘的な月の光など、人工的な明るさに慣れた現代人にはなかなか想像しにくいものもある。

そんな文学作品の闇の舞台を“闇案内人”である著者が実際に歩いたり、暗くした室内で線香花火を楽しんだりと、五感をフルに活用して雰囲気を体感。
時に恋人たちの逢瀬や詩情を盛り上げ、時に幽玄味に彩られた怪異・伝承を生み出した「闇」という物語装置にスポットを当て、作品世界をより深く楽しむ新しいアプローチを紹介してくれる。

夜の小倉山登山から平安時代の肝試し跡地の散策、古の灯り・油火を身近なもので再現してみたシミュレーションまで盛りだくさんの16章からなる、ユニークな「日本文学体験案内」