だれかに話したくなる本の話

時代が変わっても共通する戦争時のプロパガンダとは

時代が変わっても共通する戦争時のプロパガンダとは(*画像はイメージです)

ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから約二ヶ月。
この二ヶ月、現地からの報道や今後の趨勢への専門家の分析などがニュースやSNSを通してしきりに発信され、毎日が戦争の話題で埋め尽くされている感がある。何が起きているのかを誰もが大まかには把握できる一方で、詳細に分け入ろうとするほど今度は多すぎる情報が邪魔になる。

それはSNSが普及して、整理されないままの情報が大量に出回るからでもあるし、戦争自体が持つ性質のためでもある。戦争とは武力と武力のぶつかり合いであり、インターネットが行き渡るよりもはるか昔から情報と情報の戦いなのだ。戦争を行う自国の正当性を国内外に印象づけるために、そして敵国を撹乱させるために、戦争にはプロパガンダはつきものである。

文庫 戦争プロパガンダ10の法則

文庫 戦争プロパガンダ10の法則

「われわれは戦争を望んでいるわけではない」「しかし敵側が一方的に戦争を望んだ」。

いま世界のいたるところで飛び交っている主張である。当事国の双方がまったく同じ論理で相手を非難して自己を正当化する。両次世界大戦から冷戦、東欧でも中東でも、現在にいたるあらゆる紛争において流布され世論を操る、巧妙かつ効果的ともいえる手法である。ポンソンビー卿の古典的名著『戦時の嘘』の指摘をふまえて、こうした戦争プロパガンダの基本的なメカニズムを検証するのが本書である。当事国がメディアと結託して広める嘘に隠された真意を読み解く、メディアリテラシーを研ぎ澄ませる一冊。